相棒も敵だ。全日本プロレスの秋山準(44)が、札幌2連戦(28~29日=札幌テイセンホール)へ向け全方位に宣戦布告を放った。28日に3冠ヘビー級王者の大森隆男(44)とのコンビで諏訪魔、ジョー・ドーリング組の世界タッグ王座に挑む秋山は、翌29日に初防衛戦を控えた大森へ「援護するつもりはない」と非情通告。全日マットの主役を奪い返す決意を固めた。

 意気消沈するどころか、持ち前の負けん気に火がついていた。

 秋山は15日の後楽園大会で大森と3冠王座決定戦で惜敗。ところが「大森が防衛戦を控えていようが関係ない。『やっぱり秋山じゃないとダメだ』と言われるような試合をする。ある意味パートナーも敵だね」と早くも王座奪取へ気持ちを切り替えていた。

 大森は29日に諏訪魔と初防衛戦を行う。普通ならば前日の世界タッグ戦から後方支援に徹し、プロ22年目で悲願の王座を射止めた相棒の5冠達成とV1を援護する立場に回るべきだ。

 しかしノア時代から策士と呼ばれた男は「世代闘争を仕掛けた以上、諏訪魔選手から自分が直接(フォールを)取らないと。新しいことに挑むからにはすべてにおいて俺が中心になるしかない」と言い切った。

 札幌決戦の直後から、全日プロは新しい時代に踏み出す。現体制は30日の函館大会を最後に終了。7月1日からは秋山が社長となった新会社をスタートさせて、新たに全日プロの運営に当たる。7月第1週には都内で正式発足会見を行う予定だけに「うなだれたまま発表に臨むわけにもいかない。俺はリングの内外でトップに立ちますよ」。札幌決戦で結果と内容を残し、早々と次期3冠挑戦者にも名乗りを上げるつもりだ。

 休む間もなく7月12日の大阪大会から新体制による第1弾シリーズが開幕。「こんなにテンションが上がってる時も珍しい。歴代の社長は(就任後は)落ち着いたかもしれないけど、俺に限ってそれは絶対ない」とリングの内外でフル回転を誓う。札幌決戦から新たな挑戦が始まる。