新3冠ヘビー級王者・大森隆男(44)への挑戦(29日、北海道・札幌テイセンホール)が決定した諏訪魔(37)が16日、相棒ジョー・ドーリング(32)の暴走を危惧した。3冠戦前日(28日、札幌)に大森、秋山準組と世界タッグV5戦を控える諏訪魔が抱いている不安とは――。

 2大王座をめぐる争いは、複雑な状況となっている。15日の後楽園大会の王座決定戦では、大森が秋山を下して3冠初戴冠。すぐさま諏訪魔の挑戦が正式決定した。しかし札幌決戦初日(28日)では諏訪魔とドーリングが王者として大森、秋山と世界タッグ王座防衛戦を行うから話はややこしくなる。

 かねて諏訪魔は「大森VS秋山」の旧世代でチャンピオン・カーニバル優勝戦(4・27大阪)を争われた屈辱を晴らすため「大森さんが勝ったらオレ、秋山さんが勝ったらジョーが挑戦する」とPWF本部に提案していた。

 結果的には諏訪魔案が採用されたわけだが、ドーリングの存在は無視された格好だ。そこで諏訪魔は相棒が逆上し、暴走しかねないと危惧するのだ。

「結果オーライとはいっても、PWF本部(ドリー・ファンク・ジュニア会長)はジョーの実力を軽く見ている。ジョーはオレに(3冠挑戦の)チャンスを奪われた形だし、快くは思っていない」と諏訪魔は表情を曇らせる。世界タッグ戦で相棒が暴走してしまえば、わずか2日間で5冠王を達成する野望は夢と終わる。3冠戦に専念できる状況ではない。

「ジョーが怒って暴れだしたら、誰も制御できないよ。パートナーのオレでも無理。PWF本部はどう責任取ってくれるのか?」と不安を募らせる一方の諏訪魔。本部と全日プロのパイプ役である渕正信取締役も「現状では諏訪魔の挑戦がベストということ。だけどジョーが暴れだしたら、やっぱり誰も止められないよな…」と表情をひきつらせるのみ。札幌決戦が危険な香りに満ちてきた。