経営の鬼となる。全日本プロレスの秋山準(44)が6日、本紙既報通り7月1日から自らが社長となり新会社を設立し、全日プロを運営していくことを発表した。全13選手と社員16人も移籍の見込み。登録商標の無償移行など細部は、現オーナー・白石伸生氏(41)との最終交渉が続いているものの、とにかく「秋山全日本」は本格発進。第10代社長となる秋山は「節約に徹する」との方針を明かした。

「史上最悪の形での社長就任だと思います。一番底辺からのスタート。でもピンチはチャンスでもある。やると決めた以上、全日本と心中します」。この日、自分の原点でもある横浜市内の全日プロ道場で会見を開いた秋山は、やや緊張した表情で言い切った。経営者としてやるからには徹底する。「ギャラが遅れた時点で失格。ギリギリでやっていく。節約できる部分は節約してレスラーと社員に還元したい」。経費節減のため当面の間、事務所は道場に併設。

 シリーズも惰性的に地方を回らず、確実に集客できる大都市中心型にする。カード編成はもちろん、グッズ類の収支など細かい部分にも目を光らせるつもりだ。

 さらには合宿所内の節約も厳命。道場で生活する新人・野村直矢らに「お前らメシは好きなだけ食いなさい。でも必要のない電気は消せ。クーラーは外の気温が33度を超えるまで使っちゃダメ。寝る時は扇風機を回しなさい」と厳しい指示を出した。

 それもこれも団体を立て直すためだ。理想の社長像を創設者の故ジャイアント馬場さんとした秋山は「今だから分かるけど、あれだけの数の選手やスタッフ、その家族を潤わせたというのはすごい。社員とその家族全員で年末にハワイへ社員旅行に行けるまで会社を戻したい」と会社全体の繁栄を目指すという。

「選手のパフォーマンスならどこにも負けていない。もう一度(同年創設の)新日本プロレスと並び称されるまでに全日本プロレスを引き上げたい。もう前を向くしかない」と決意を新たにした秋山。鬼に徹して、王道プロレスの再建へ心血を注ぐ。