【プロレスPLAY BACK(110)】米WWEの2021年最初のPPV大会「ロイヤルランブル(RR)」男子RR戦は“R指定の男”エッジが11年ぶりに制し幕を閉じた。“ロックスター”中邑真輔は3年ぶりの優勝を逃し、“女帝”アスカは女王様ことシャーロット・フレアーと保持するWWE女子タッグ王座を失った。

 それでも中邑はローマン・レインズのユニバーサル王座奪取を目指すと宣言。アスカも女王様とのタッグ継続の意思を示した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で恒例の日本公演は中止となったが、今年は実現に期待したい。

 今から16年前の2005年2月4、5日はさいたまスーパーアリーナで2日連続の日本公演が行われ、初日は現全日本プロレスのTAJIRIが、ラ・レジスタンス(ロブ・コンウェイ&シルバン・グルニエ)から世界タッグ王座を奪取した。パートナーはTAJIRIが“師匠”と仰ぐ現NXT・GMのウィリアム・リーガルだった。

「WWEマットに無数の日の丸が揺れる。観衆は総立ち。その中心に黄金色に輝くTAJIRIがいた。日本が誇る“メジャーリーガー”が日本でベルトを奪取。その瞬間、アリーナは興奮に包まれた。リーガルの相棒・ユージーンが負傷のためめぐってきた王座戦。指名してくれたリーガルは米国に渡って以来、公私にわたって面倒を見てくれた恩人だ。期待に応えなければ男がすたる。

 TAJIRIは開始早々、キックと逆水平で流れをつかんでリーガルにタッチ。2人の関係を知っているWWEマニアはすかさず「師匠コール」を連呼した。攻撃を受け継いだTAJIRIはレジスタンスの2人をまとめて側転エルボーで吹き飛ばし、コンウェイに十八番のタランチュラ。ここはグルニエにカットされ、レジスタンスは旗を持ち出して襲いかかる。

 TAJIRIは寸前でかわし緑の毒霧をグルニエに噴射した。そして顔面へバズソーキック一閃。すかさずカバーに入り3カウントを奪取した。TAJIRIはロウで初戴冠。スマックダウン(SD)所属時はWWE世界タッグ王座(現SDタッグ王座)を獲得しており、これで両ブランドのタッグを制覇したことになる。もちろん日本人初の快挙で、TAJIRIは『取ったんだよ~。アンタ最高だよ』とリーガルと抱き合い『この喜びをみんなに分けてあげよう』と言うや観客席になだれ込み、ファンにベルトを披露した」(抜粋)

 2人はリーガルがロウからSDに移籍する同年5月まで王座を保持。TAJIRIはこの年の12月にWWEを退団しており、最後の勲章となった。ちなみにメインでは、エッジが当時の世界ヘビー級王者トリプルHに挑戦して惜敗。エッジは11年に引退し、昨年1月のRR戦で約9年ぶりに復帰した。TAJIRIは現在、全日本でコーチ役も務めており、16年の歳月はさまざまなドラマを生んでいる。