若武者・中嶋勝彦が10日、電撃引退した師匠・佐々木健介からの完全独立を宣言した。一番弟子にだけ許された健介の必殺技を継承することを“拒否”。北斗ボムや各種ストラングルホールドをこのまま封印し、自分の道を突き進むつもりだ。

 中嶋は2月11日の後楽園ホール大会で、ついに健介との一騎打ちに勝利。その直後、親父超えを許した健介は引退を表明し、現役生活に幕を下ろした。

 引退前に師匠の技を弟子が伝授されるケースはよくあるが、あまりに突然の引退劇で何の準備もできなかった。しかし、中嶋は継承する気は全くなかった。

「受け継ぐとしたら僕しかいないですが、佐々木健介というプロレスラーはもういなくなった。しっかり封印した方がいいかなと思います。技を引き継ぐと悪い言い方をすれば、引きずってしまうし、その技に頼ってしまいそうなので」。

 健介は引退試合も行わずにキッパリとプロレスと決別。代名詞だった北斗ボムやストラングルホールドが見納めとなるのはもったいない気もするが、中嶋はあえて健介の影を消す。特に北斗弾を開発したのは健介の愛妻・北斗晶で、夫婦の思いが詰まった一撃。自分が使うことは道理に合わないという。

 何よりも、健介の技を繰り出せば、そのたびに師匠の姿がフラッシュバックされる。中嶋は「見る人に重ねられちゃうのも…。自分が磨いて築き上げたものもありますので」。叩き込まれたプロとしての心構えなどは守りつつも、“伝承拒否”は健介から完全に独り立ちする決意の表れといえる。

 この日はノアの静岡・富士大会に参戦。20分近いタッグ戦の直後にバトルロイヤルにも出場して大暴れ。17日の後楽園大会がノア最終試合となるKENTAとのタッグ対決に向け、中嶋は「ノアを離れることを後悔させる試合をしたい」と気合を入れ直していた。