史上空前の大混戦となった全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル」決勝大会が27日、大阪・ボディメーカーコロシアムで開催され、大森隆男(44)が昨年度覇者の秋山準(44)を優勝決定戦で撃破。11度目の出場で悲願の初優勝を飾った。超過酷な一日3試合の難関を突破できたのは、常に先を行くライバル・秋山の存在を追いかけた結果だった。

 1992年10月にデビューし、祭典出場は実に11度目。ついに大森が栄冠を手中にした。

 この日のAブロック最終公式戦で大森は“悪魔仮面”ケンドー・カシン(45)の腕ひしぎ逆十字固めをエビ固めで押し潰し、土壇場で首位に並んだ。諏訪魔(37)との優勝戦進出者決定戦を必殺のアックスボンバーで制すと決勝では大森と同じく“トリプルヘッダー”となった秋山と激突した。

 花道でのDDTや脳天杭打ちで首を集中攻撃された大森は、フロントネックロックで意識を失いかける。それでも、闘志まで消えることはなかった。15分過ぎ、秋山のヒザ爆弾にカウンターの剛腕を直撃させて逆転。斧爆弾をカウント2でハネ返されても、尻をついた秋山をスライディング式の斧爆弾で追撃し、勝利を決めた。

 王道マットで大森がシングルタイトルを獲得したのは、これが初めて。大森は「プロレスをやっててよかった」と喜びに浸った。

 初優勝、そして大舞台で秋山を倒した意味は大きい。レスリングエリートとして鳴り物入りで入団した同期の秋山に常に後れを取ってきたからだ。秋山はデビュー翌年の93年にカーニバル初出場を果たしたが、大森の初出場は2年後の95年。同期とは名ばかりで、当時の故ジャイアント馬場社長率いる全日プロの扱いでは、あまりに“格差”があり過ぎた。

 大森は「嫉妬がなかったと言えばウソになる。馬場さんから教わることもボクの方がのみ込みが遅かった。ヘッドロックにしてもヘッドシザースも何でも…。自分が見てる目線より一段上だった」と振り返る。常に背中を見続けていた男からの勝利。祭典で22年目の“秋山超え”を果たした意味は大きい。

 反骨魂を爆発させてつかんだ栄冠から向かう次の目標は、3冠ヘビー級王座初戴冠しかない。王者・曙は欠場中ながら「真っ先に挑戦できる権利を俺は手に入れたはずだ」と断言。真の頂点へ大森は駆け上がる。