全日本プロレスの祭典「チャンピオン・カーニバル」に春の嵐が吹き荒れた。23日の東京・後楽園ホール大会で、優勝候補筆頭の諏訪魔(37)が、前IGF王者の藤田和之(43)をセコンドに就けた“悪魔仮面”ケンドー・カシン(45)にまさかの敗北。術中にハマって勝ち点を伸ばせず足踏み状態となった一因には“曙ショック”もあった。

 注目の初対決は想定外の展開となった。カシンの入場に続いて藤田が姿を現し、そのままセコンドに就いた。

 諏訪魔は場外へ放り投げたカシンの後を追うと、藤田と鉢合わせ。至近距離でのにらみ合いに発展した。勝負を急いだ諏訪魔は、カシンにラストライドの体勢に入る。カシンは諏訪魔の後方へ着地した際に左足を抱えて悶絶。だが、これはカシンのワナだった。

 諏訪魔は足首固めを仕掛けるが、ヒモを緩めていたカシンのシューズがすっぽ抜ける。その隙を突かれ、諏訪魔は3カウントを奪われた。

 王道マット初登場の藤田は「参戦? 知ったこっちゃない。助けてくれと頼まれただけ」と足早に帰路に就いた。

 まんまとカシンの術中にハマった諏訪魔は精神面も揺らいでいた。理由は曙の欠場だ。曙は肺炎による体調不良で再入院。22日に休場が決定し、残る公式戦2試合は不戦敗で、諏訪魔との対決(27日、大阪)も消滅した。そもそも諏訪魔は開幕前から曙に休場を勧告していたが、本人は3冠王者のプライドから反対を押し切って強行出場。諏訪魔は「それでも出てきたんだから、大阪で俺が止めてやろうと思ってた。正直、残念だし、拍子抜けしたよ」。

 昨年9月の入団以来、シングル無敗を誇る曙に土をつけようと最後の天王山に照準を合わせており、その強敵が途中リタイアしてしまったのだから、気持ちが揺らいだのも無理はない。

 曙戦が消えた諏訪魔の大阪決戦のカードは未定。諏訪魔は同大会のメーンで行われる優勝決定戦進出への望みを残しているが、スタミナを温存するつもりなどない。

「体力は無尽蔵だからな。60分を3本やってもいいぞ。誰とやっても勝つ。そして優勝だ」と強がる諏訪魔だが、カシンに敗れたショックと曙欠場による精神的なダブルパンチは否めない。