W―1が誇る孤高のサムライ・船木誠勝(45)が、団体の方針に一石を投じた。船木は「戦いの原点がない」とW―1勢を一喝し、団体独自の新王座創設を提唱。また、W―1よりもTNAマット出場が優先される真田聖也(26)の現状を「だまされたような気分」と痛烈批判した。

 昨年9月に旗揚げしたW―1は、対戦カードを当日発表にするなどの独自性を打ち出そうと試行錯誤を繰り返してきた。

 船木は「こういう感じのメンバーでやってます、という時期はもう終わった。争っている内容が本当に争うべき内容なのか。戦いの原点がない。KAI選手のエース闘争というのは分かりますけど」と斬り捨てた。

 一例に挙げられたのは「チャンス・コントラ・チャンス」(17日、後楽園)。フォールもギブアップもなく、開始7分後に規定の旗を持っていた選手が勝者となるもの。この手の試合こそ、船木が「ネタでプロレスをやるな」と最も嫌うものだった。

 W―1勢の意識を改革するためには、やはりベルトが不可欠という。

「もうW―1のタイトルを作っていいと思う。自分の目標も、みんながどこに向かっているのか、今誰が強いのか分かりづらい。ベルトという基本に戻した方がいい」

 王座を保有しないこともW―1の個性だが、ある“失策”が船木を新設へと駆り立てる。真田が日本人として初めてTNA・Xディビジョン王座を獲得するも、主導権はTNA。真田はTNAへの出場が優先され、W―1の大会に穴をあけ、5月4日の東京・TDCホール大会への参戦も不透明。これでは本末転倒も甚だしい。

「真田選手は向こうの選手になってしまった感じ。なんかだまされたような気分ですね。そのシステムにあぜんとしました」。ディビジョン王座をW―1で自由に扱えない以上、自前で王座を用意するほかない。船木の主張がW―1を突き動かすのか。