一番の仕事は道場で悲鳴を上げること?

2014年04月24日 11時02分

柴田の足4の字固めをくらう熊野準(右)。次第に打たれ強くなっている
2014年 飛躍するホープたち<3>
熊野準(22=ノア)

  いまだにプロ初勝利すら挙げていない。しかしノア約7年ぶりの新人は象が踏んでも壊れない“新鉄人”の異名を取る。

 昨年2月9日の後楽園大会(対小峠篤司戦)でプロデビュー。ノアにとっては谷口周平(現マイバッハ)以来の新人レスラーとなった。シングル、タッグとも自ら勝利を決めた試合はないが、昨年9月には原田大輔とのコンビでGHCジュニアタッグ王座に挑戦。白星なしでの王座挑戦は、鉄人・小橋建太ぐらいしか前例がなく、大抜てきの挑戦だった。

「昨年暮れに(選手が)大量離脱した後だったのでデビューできた。僕は運が良かっただけです」と無表情で語る熊野は、数々の先輩レスラーに“実験台”として使用されてきた。

 昨年8月にはKENTAと柴田勝頼の合同特訓ではゴー2弾の練習台となり、その2日後にはザック・セイバーJrのジムブレイクスアームバーの練習台にされ、TMDKの合体技ボムバレーデスを試し斬りされた。そして鉄人・小橋の引退試合(昨年5月11日)前には、道場で最後のスパーリングパートナーを務めた。尋常ではない打たれ強さだ。

「最後に道場で小橋さんにチョップをもらい、スープレックスで投げられたのはいい経験でした。自分は派手さはない。飛べもしません。地味でいいんです。関節技や丸め込み主体のレスリングをしっかりやっていきたい」

 広島国際高(旧広島電機大学付属高)レスリング部出身で獣神サンダー・ライガーの後輩に当たる。スポーツトレーニング専門学校卒業後、杉浦貴に憧れてノアの門を叩いた。7年ぶりの新人に対し、KENTAは「確かに頑丈は頑丈。21世紀の木戸修さん的なというか、昭和の香りを漂わせるオールドスクール的なレスラーになってほしい」と期待を寄せる。

「まず1勝。どんな形でも」と地味な目標を掲げた熊野は、今日も誰かの実験台として悲鳴を上げている。

 ☆くまの・ひとし 1991年11月22日、広島市出身。170センチ、77キロ。得意技は巻き込み回転エビ固め。