全日本プロレス春の祭典「チャンピオン・カーニバル」が13日、東京・ベルサール渋谷ガーデンで開幕。Aブロックから出陣のエース・諏訪魔(37)は大森隆男(44)を撃破し、6年ぶり2度目の優勝へ絶好のスタートを切った。その諏訪魔は肺炎を抱えたまま強行復帰した3冠ヘビー級王者・曙(44)に休場勧告を突きつけた。

 圧巻の勝ちっぷりだった。大森に後頭部へのラリアートや危険すぎる雪崩式岩石落とし、さらにアックスギロチンドライバーを2発も浴びながらも、不死身の諏訪魔は沈まない。

 首折り弾の相打ちに競り勝つと回転式の剛腕を直撃させ、得意の岩石弾を発射。怒とうのラッシュから必殺のラストライドを爆発させて3カウントを奪い取った。

 万力スリーパーをチョークぎみに決める暴君ぶりも全開にした諏訪魔は「俺が優勝しないと意味がない。あれ(反則攻撃)が逆によかった」と悪魔のような笑み。

 まずは最初の関門を突破した諏訪魔だが、気掛かりなのは最終公式戦(27日、大阪)で対戦予定の曙だ。曙は肺炎を患い、約3週間の入院を余儀なくされ、完治しないまま前日12日に強行復帰した。この日もタッグ戦に勝利するも、本調子には程遠く、本人も「肺が爆発するかと思った」とスタミナ切れを自覚。勝ち名乗りを受けるためにリングへ戻ることすらできなかった。

 曙の公式戦は14日の仙台大会から始まるが、諏訪魔は「プロレスに命を懸ける覚悟は分かる」と理解は示しつつも「頼むから休んでほしい。絶好調でないのは誰が見ても分かるわけで。3冠王者は常に100点以上の試合をしなくちゃいけないし。生命に関わるような状況で(対戦相手に)ちゅうちょする人も出てくるよ」とカーニバル不参加を訴えた。

 骨折などのケガならばまだしも、曙の症状は目に見えない。しかも曙は2年前にも肺炎で生死の境をさまよっており、無理を続ければ重大な事故につながる危険もある。また、曙の相手となる諏訪魔らは戦いづらいというのが本音だろう。

 さあ、どうなる――。