肺炎のため欠場していた全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・曙が、完治しないまま12日の神奈川・横浜大会で25日ぶりに強行復帰した。

 曙は3・18後楽園大会で3冠V4に成功したのを最後に、21日から東京都内の病院に緊急入院。退院するまで約3週間を要した。まだ完治に至ってないが、今日13日に開幕する春の祭典「チャンピオン・カーニバル」(東京・渋谷)に向け、3冠王者の使命感から欠場の選択肢をかなぐり捨てた。

 曙は試合前から「余裕なんかない」と緊張を隠せない。その精神状態を見透かされたように吉江豊と組んだタッグ戦では、入場時にKENSOの奇襲攻撃にさらされた。さらに、イスをノド元に突き立てられ、背中を殴りつけられてしまった。

 ただ、いくら本調子でなくとも、一撃の破壊力は変わらない。KENSOと長井満也をまとめて首折り弾でなぎ倒し、得意の肉弾プレスで長井を悶絶させる。フォールをカットされても、あきらめずにこの日3発目の圧殺弾で長井から3カウントを奪った。

 曙は「心配かけまして、どうもすみませんでした」と謝罪。その上で「体は大丈夫ですけど、まだ全然ついていけない。休んだ分を取り戻さないと。実戦が練習なんで。(試合が)不細工でもやるしかない」と決意を新たにした。

 曙の公式戦初戦は14日の仙台大会。開幕戦はタッグ戦に出場するため、もう1試合調整する猶予がある。「これをいい準備運動としてやるしかない」。前向きな姿勢を崩さない曙だが、栄冠への道は険しい。