2014年 飛躍するホープたち<2>
野村直矢(20=全日本プロレス)

 全日本プロレスの野村直矢(20)は、昨夏に分裂した新生・全日プロにとって初めての生え抜き新人レスラーだ。3月30日に地元の石川・金沢大会でデビューしたばかり。青木篤志との一騎打ちに敗れたが、厳しい攻撃に歯を食いしばって立ち向かった。

 野村が入寮したのは昨年10月。同6月に全日プロが大分裂し、存続そのものが危ぶまれる中での入門だった。しかし、若手選手がゴッソリと退団したこともあり、野村の目には小3から夢見たプロレスラーになる好機と映った。高校でラグビー部に所属したのも、体づくりの一環だった。

 憧れた選手は小橋建太や佐々木健介。野村は「相手の技を全部受け切って勝つのがカッコよかった」と振り返る。入寮後は、一日6杯のどんぶり飯を平らげることを心掛け、約半年間で体重を10キロ増やした。窮地に飛び込んできた新人だけに団体側の期待も大きい。

 185センチ、90キロ。同時期に入寮した練習生3人のうち残ったのは野村だけで、これが恵まれた環境を生んだ。野村は基礎を青木から学んだだけでなく、試合巧者の策士・秋山準、小橋の愛弟子に当たる豪腕・潮﨑豪など主力勢からアドバイスを一身に受けた。まさに新生・全日本が生んだ“英才教育戦士”といえる。

 そんな野村のこだわりは、古典的かつ基本技だ。「プロレスラー=ドロップキック。カッコよく決めたい。(相手の攻撃から)逃げたりしないレスラーになりたい。何も考えずにガムシャラにやっていきます」。将来的にはヘビー級を主戦場とする野村の今後に注目だ。

 ☆のむら・なおや 1993年10月26日、石川・金沢市出身。中学は陸上部、高校ではラグビー部に所属。新生・全日本初の生え抜きとして将来を期待される。