今年で47回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2020年度プロレス大賞」選考委員会が14日にオンラインで行われ、各賞の受賞者が決定した。

 東スポOBでプロレス評論家の門馬忠雄選考委員は新型コロナウイルス禍に見舞われた今年のプロレス界について「事件の連続」と総括した。

「日本プロレス協会が1953年7月30日に設立されてから今年で68年目だが、プロレスの歴史の中でこれほどの事件はなかった。コロナの影響で無観客での試合が行われ、各団体のシリーズ日程なども変わった。プロレスには季節感があるけど、それが全体的にずれてしまった。これは私の取材の歴史の中で大きな事件だった」

 そんな中でも、新たなスタイルが生まれたことにも着目。「無観客、リモート。その象徴が潮﨑(豪)と藤田(和之)の試合だったように思う。30分以上もにらみ合って動かない。ああいう試合も成立した。今後の興行のヒントにもなるのでは」と指摘した上で「あの試合、私は(アントニオ)猪木とマサ斎藤の巌流島決戦に匹敵すると思う」と評価した。

 会場の応援スタイルも一変したが「手拍子に足踏み。ファンは叫ぶこともできない。喜怒哀楽のないプロレスは見たくない。早くマスクを外してプロレスが見たい」と熱望。さらに現場に対しても「柔道の阿部(一二三)対丸山(城志郎)のような緊張感がある試合。アスリート性があるプロレスをしてほしい」と注文をつけて締めくくった。


【2020年の選考】2020年度のプロレス大賞選考委員会は新型コロナウイルス感染拡大防止対策としてオンライン形式での会議となった。選考委員も例年に比べて人数を絞り、17人とした。また「1次投票」として事前投票を行い、その結果を踏まえて会議に臨んだ。

 また、コロナ禍により各団体の試合数にばらつきがあるため、今年度は新人賞の選考を取りやめた。デビューから3年以内の選手を対象とする新人賞は、21年度の規定を「4年以内」として、今年度で対象から外れる選手の権利を維持し来年度に選考する。

 功労賞、特別賞、レスリング特別表彰も諸事情を検討した上で、今年度は選考を見送った。なお、恒例となっている年明けのプロレス大賞授賞式もコロナ対応で行わない。