【中西学の月刊野人通信(6)】東スポWeb読者の皆さん、いかがお過ごしですか。早いものでもう12月になるけど、今年はいろんな意味で泣いた人が多い一年やったんやないかな。俺としては2月の引退試合をあれだけ盛大にやってもらったことでうれし涙を流すこともできたんやけどね。

 引退までのプロセスでも第3世代のみんなが支えて一緒にやってくれて、本当に仲間に感謝ですよ。思い残すことがないと言えばウソになるけど、最後の試合でトップの選手(オカダ・カズチカ、棚橋弘至、飯伏幸太、後藤洋央紀組)からあれだけの技を受ける機会なんてないからね。

 やっぱりすごかったし、このまま立てへんのちゃうかと思うたけど、運よくまだ動けてるな。なんかオカダは最近レインメーカー使ってないみたいだし、もしかして、いまのところ最後にあの技を受けたのは俺ってことになるのかな? それはそれで貴重やね。

 セレモニーには坂口(征二)会長に、藤波(辰爾)さん、長州(力)さん、馳(浩)さん…大先輩たちにも来てもらえた。リングの上で握手したんやけど、試合後で汗かいてるもんやから長州さんから「近寄るんじゃない!(スーツが)汚れるだろ」って言われたのを覚えてるな(笑い)。

 長州さんって現役の時はプロレス一筋っちゅうか、芸能とかあんまりやらんイメージやったけど、もともと冗談とか言うことも面白い人やったからね。藤波さんみたいに芸能活動やりたいんちゃうかなって昔から思ってたもん。俺も見習いたいし、やっぱり今の活躍を見てもすごいよね、長州さん。

 今となっては、あの時期に無事に引退興行ができたってことが一番ありがたいですよ。あの直後くらいからコロナで大会ができなくなってしまったからね。俺も引退試合の後は、企画がいくつもいくつも中止になっていったり、なかなかやりたいと思ってた活動ができなかった。

 今年を漢字一文字で表すとしたら「制」かな。なんかせなあかん、あれしなあかんと思ってても制限されたり制止しなきゃいけなくなったり。リング上では暴れきったと思うけど、その後としてはまだまだ暴れ足りないよな。ゼニも稼がんとあかんし、男やねんから。

 だからこそ来年「制」の次は「動」の一年になることを願いたいね。「働」でもいいけど。そのためにもこのコロナが一日も早く終息してほしいな。ただ時代が結構変わり目にあるというか、コロナの前に通用していたことがもう通用しなくなるかもしれないし。とにかく何かやらないと。いろいろ考えて動きだす準備をしたいよね。東スポ読者の皆さんも、よいお年をお迎えください! 仕事くれよ!