全日本プロレス18日の東京・後楽園ホール大会で3冠ヘビー級選手権が行われ、王者・曙(44)が宮原健斗(25)を下し、4度目の防衛に成功した。次なる野望は春の祭典「チャンピオン・カーニバル」の全勝優勝。そしてついに邪道・大仁田厚(57)との電流爆破3冠戦も視野に入れた。

 まさに横綱相撲だった。曙は右腕を鉄柱に激突させられた上、2度もスネークリミット(SL=三角絞めと腕ひしぎ逆十字固めの複合技)で捕獲された。

 それでも、破壊力は衰えなかった。腕へのピンポイント攻撃を耐え抜くと左右の張り手を顔面に直撃。ここから一気に一撃必殺のヨコヅナインパクト(脳天杭打ち)を突き刺し、史上最年少戴冠の夢を阻んだ。

 王者の威厳を示した元横綱は、祭典制覇へ突き進む。曙は「もちろん全部取るつもりでいきます。チャンピオンは負けられないですから」と全勝Vを誓った。

 曙がこのまま有言実行で快進撃を続けると、いよいよ王道マットでは挑戦者がいなくなる。昨年9月に行われた王道トーナメントで秋山準(44)や潮﨑豪(32)を撃破して優勝。翌10月にはエースの諏訪魔(37)から3冠王座を奪取し、ジョー・ドーリング(31)や大森隆男(44)らの主力勢も3冠戦で退けた。

 曙は「この団体の中はだいたいやってる。本当はベルトを持って他団体に出たい気持ちがある」と外にも目を向ける。その中でも借りがあるのが、大仁田だ。

「団体の協力がないとできない」としながらも曙は「あれから何もない。どうなってるんだか…。ボクの中では終わってないと思ってますよ」。

 曙は大仁田と電流爆破で3度激突し、1勝2敗と負け越したままになっている。大仁田も昨年のクリスマスに曙邸へプレゼントを送りつけるほど再戦に意欲的だったが、なぜか、まったく音沙汰もなくなった。肩すかしを食らった曙は、決着戦を熱望している。

 史上初となる3冠電流爆破マッチを実現させるためには、祭典全勝Vを飾り、団体内で改めて最強を知らしめることが不可欠。「全日本の横綱は曙です」と自負する鉄壁王者は、まだまだ走り続ける。