全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・曙(44)が3月18日の後楽園ホール大会で、宮原健斗(25)とV4戦を行うことが26日に決定した。若武者の挑戦に胸を貸す立場の曙は、次世代の教育も王者の義務と主張。大相撲の横綱在位時に後の横綱・朝青龍に施した“教育的指導”を、宮原の体にも叩き込む決意を明かした。

 曙は23日の沖縄大会で潮﨑豪を撃破。直後に宮原の挑戦表明を受け、後楽園決戦でのV4戦が決まった。

 タイトル戦のサイクルが異様に早いのは昨今のプロレス界の傾向だが「次の対戦相手がすぐ現れてくるってことに対しては慣れてきた。気持ちも体も鍛えてベストなコンディションにもっていく」と豪語した。

 3冠初挑戦の宮原は全日入団からわずか2か月で、6年のキャリアを通じてタイトル歴もない。王者としては「顔じゃない」と突っぱねることもできたハズだが、あえて受諾したのには理由がある。曙は「相撲界と同じで、今は自分が全日本の横綱。全日本の横綱としても、次の世代を引っ張り上げる気持ち」。次世代の戦士育成による団体及び業界の底上げもトップに立つ者の義務、と主張するのだ。

 その考えは相撲時代と変わらない。今回の宮原と同じケースとして、曙は自身の横綱在位時の2000年に幕下、十両だった朝青龍を例に挙げた。「同じ一門だし、出稽古でもよくやりましたよ。気持ちも大事なんだけど、それよりも体で(横綱の強さを)覚えさせるというか、勉強させるというか。そういう気持ちですね」。

 ただ胸を貸すだけでなく、頂点を目指す次世代の人間に身をもってハードルの高さを知ってもらう。後のお騒がせぶりはさておき横綱まで上り詰めた朝青龍同様、宮原を未来の王者と認めているからこそリングの上で容赦ない“教育的指導”を施すつもりだ。

 短時間での決着も辞さない覚悟だという曙は「横綱らしくドンと構えます」と威風堂々。風格が漂ってきた3冠王者に死角は見当たらない。