【3冠ヘビー級選手権(60分1本勝負)<王者>○曙(15分25秒 体固め )<挑戦者>潮﨑豪●】

 全日本プロレス史上初となる沖縄県内での3冠ヘビー級選手権が23日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行われ、王者・曙(44)が潮﨑豪(32)を退けて3度目の防衛に成功した。南国での死闘を制した曙は、故郷ハワイで3冠戦を開催する野望を告白。沖縄滞在中に米軍とのパイプを、より強固なものとした曙は、夢の実現へ着実に足場を固めつつある。

 超巨漢と豪腕によるパワー対決は、元横綱に軍配が上がった。

 曙は210キロの巨体を支える左ヒザにマッケンローを浴びるなど、一時は下半身の踏ん張りが利かず、脳天砕きでブン投げられた。

 それでも破壊力までは衰えない。カウンターの張り手を命中させると串刺し式肉弾アタックを発射。崩れ落ちた潮﨑に問答無用のヨコヅナインパクト(脳天杭打ち)を突き刺して、死闘に終止符を打った。

 試合後にはこの日、大森隆男(44)から殊勲の星を挙げた若武者・宮原健斗(24)に次期挑戦を直訴され、曙は「いつでもどこでも来いや!!」と受諾した。

 曙は前日、米軍嘉手納基地を訪れてサイン会などを実施。しかし、営業だけが狙いではない。実は米軍側から基地内でのプロレス大会開催を打診されていた。そして基地訪問中に話し合いが行われ、早ければ年内実現に向けて調整することで合意に達した。

 曙にとっては大きな一歩だ。曙は「47都道府県で3冠戦というのもあるけど、ハワイでもやってみたい。(基地訪問は)そのためのものでもある。ハワイの米軍とかも沖縄に来て発信してくれるし、向こうの新聞にも出てだんだんと情報が流れる」と打ち明ける。

 ハワイ凱旋は決してバカンスなどが目的ではなく、全日プロを世界に広めるためのものだ。

「ハワイでプロレスといったら、みんなWWEしか知らない。日本のプロレスがどんなものか見てもらいたい。ボクなんて(WWEファンに)リアル横綱じゃないって言われたことがある。『(元WWFの)ヨコヅナが本当の横綱』だと。ホンモノの横綱はこっちだっちゅーの」

 沖縄の観衆に大声援で祝福された曙は、王道プロレス普及のため、いくらでも海を渡る覚悟だ。