新日本プロレスの前IWGPインターコンチネンタル王者・中邑真輔(33)が袋小路に迷い込んだ。年明けからまさかのタイトル戦2連敗で精神的に追い詰められた中邑だが、王座返り咲きも狙えるハズの「NEW JAPAN CUP」(3月15日、後楽園で開幕)へ向けても青写真は見えてこない。復活のカギを「過去への回帰」に求めるものの、“鬼門”のNJCには赤信号が点滅している。

 1・4東京ドーム大会で棚橋弘至に敗れIC王座から陥落した中邑は、2月の広島大会でも奪還に失敗。「2連敗で『どうしよっかな』ってとこ。中邑真輔が停滞している…」と、ショックをにじませた。

 そんな中で次期「NJC」には、優勝者がIWGPヘビーか、ICへのの挑戦を選択できる権利が新たに発生した。ICに誰よりもこだわりを持つ中邑にとって、天恵とも呼ぶべきシステム変更かに見えたが、当の本人は「(ICを)IWGPと同等に育て上げた。もう一度巻けば…って思わないわけじゃないけど。今はそれすらも考えられない状況。今のままだと勝算はない」と苦悩を打ち明ける。初戦の相手も昨年1回戦敗退に追い込まれたデイビーボーイ・スミスJr.とあり、優勝後を思い描く余裕はない。

 深刻なスランプ脱出が最優先の中邑は「忘れていた感覚。昔の練習方法だったり、かき集められるだけかき集める」との姿勢を打ち出す。広島決戦後にはテレビ番組の収録で「武蔵一族」の忍者修行も敢行。

 総合格闘技時代に取り入れていた古流武術に触れることで、復活の足がかりを模索した。今後も柔術やカンフーといった自身のルーツをたどる調整を図るという。

 とはいえ狂った歯車を元に戻すのは容易ではない。加えて永田裕志がNJC参加者に「第3の選択肢」としてGHCヘビー級王座への挑戦権をチラつかせるなど周囲の雑音もやかましい。「え? GHCもいいの? NWAもってマジかよ?(注・誰もそんなこと言ってない)ますます分からねえな。(自分が)どこに向かっているのかも分からない」と、完全に心身のバランスを欠く中邑。皮肉にも自身が率いる軍団名「CHAOS」そのものとなった精神状態のままでは、復権など夢のまた夢だ。