【1977年10月14日】猪木VSウエップナー「相手が大仏じゃなくて猪木で良かったぜ」 

2020年11月01日 10時00分

【写真左】鎌倉大仏を前にうれしそうな表情を見せるウエップナー、【写真右(上)】猪木渾身の右ストレートをかわしてみせた、【写真右(下)】計量を背後から厳しくチェック

【猪木に挑んだモンスター】鎌倉大仏(神奈川・鎌倉市の高徳院)を指さしてうれしそうな表情を見せているのは、ヘビー級ボクサーのチャック・ウエップナーだ。アントニオ猪木との決戦(日本武道館)を5日後に控えているとは思えないリラックスぶりである。1977年10月14日に来日。連日、ハードなトレーニングを行うと、同20日は休養に充てて鎌倉や箱根で観光を楽しんだ。

 2年前の75年には、王座返り咲きを果たしたモハメド・アリの初防衛戦の相手に大抜てき。15ラウンドTKOで敗れるも、9ラウンドにダウンを奪ってみせた。ラビットパンチ連発のダーティーファイトはいただけないが、この試合を見たシルベスター・スタローンは、その奮闘ぶりに感動して映画「ロッキー」を生み出した。

 翌76年、猪木VSアリのクローズドサーキットに合わせたWWWF(現WWE)のビッグイベントで、アンドレ・ザ・ジャイアントと対戦。リング上から場外に放り投げられてリングアウト負けを喫している。この一戦は「ロッキー3」のロッキーVSサンダー・リップス(ハルク・ホーガン)に影響を与えたとされる。

 鎌倉大仏を見たウエップナーは「ほう、デッカイな。何フィートあるんだ。なに約36フィートだって。木でできてるのか? ほうブロンズ(青銅)。こんなのとやったら、さすがの俺のパンチも通じないだろうな。相手が猪木でよかったぜ」と、マネジャーのアーノルド・スコーラン(アンドレのマネジャーとしても知られる)と大喜び。10月25日の猪木との決戦に向けて十分に英気を養った。

「俺は猪木をアリと同等の偉大なチャンピオンだと思っている。だから、この対決のため、アメリカで5週間もトレーニングしてきた。アリ戦以来だぜ、俺がこんなにトレーニングしたのは――」とベストコンディションで試合に臨んだウエップナーは、オープンフィンガーグローブを着けて殴り合いを挑んできた猪木に重いパンチを次々にヒットさせて何度もダウンを奪ってみせた。

 6ラウンド1分35秒、逆エビ固めを完璧に決められて敗れたが、アリ、アンドレ、猪木の3人と戦った男として、格闘技ファンの記憶に残るファイターとなった。(敬称略)

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