東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王座を保持する坂崎ユカが、年間最大興行を世界に発信する。

 11月7日の東京ドームシティホール(TDC)大会メインでは、ユニット「マジカルシュガーラビッツ」のパートナーでもある瑞希(25)の挑戦を受ける。

「『ケンカ別れ』みたいのから戦いが生まれることが多いと思うけど、タイトル戦が決まってからもタッグを組んだりと異例のストーリーが動いている。瑞希のことが好きだからこういう戦いだというのをお客さんが感じてくれれば」と語る。

 激動の2020年を総括する大会だ。新型コロナウイルス禍がマット界を直撃し、東京女子も無観客試合の配信が続いた。再開後の8月には選手1人に陽性反応が出たため2大会が中止になった。「存続が危ぶまれるところも多かったけど、うちはアイデアを出して生き残れた。無観客でも試合ができるとなった時は、今までよりもプロレスは自分にとってかけがえのないものだと思いました」と振り返る。

 団体を襲ったのはコロナだけでない。9月にはレギュラー参戦していた2選手が離れ、他団体に移った。「行きたい人は行けばいいと思うんですけど」としながらも「『刺激が足りなかった』『東京女子は仲がいいだけ』みたいに言われると悔しい部分はある。確かに仲はいいけど、そこしか感じられなかったのなら申し訳ないなって思う。『やっぱり東京女子の方が良かった』と言ってもらえるようにこっちが上がっていくだけだなって」という思いを強くした。

 団体のブランドを守る意識は誰よりも強い。「他団体は気にはなるけど、それを東京女子でやりたいかっていうとそうではない。例えば水着姿でケンカするとかいう団体もあったと思うけど、うちはそういう色じゃないなとか。うちは東京女子だからというのを無意識に心に秘めているから、一体感が生まれている。ファイトスタイルも女子プロとは違うので、別ものとして見ていただいた方がいい。他とは違うところを見せないと団体としての意味がなくなるので、ブレずにいきたい」

 昨年からケニー・オメガ(37)が副社長を務める米AEWのリングにも上がり、世界での知名度も飛躍的にアップ。そんな坂崎だからこそできることがある。「海外のファンは『トウキョウレディー』とは言わず『トウキョウジョシ』と言うほど認知度が上がっている。東京女子の名前がもっと世界に浸透できるように引っ張っていかなきゃなと思います。TDCは気合入れていますよ。東京女子はキラキラしていないといけないので」。ヒロインの座は誰にも譲らない。