恒例の「節分追儺式(ついなしき)」が先日、東京・大田区の池上本門寺で開かれ、今年もトップレスラーが大集結してプロレスサミットが実現した。議題は世界最大団体・WWEへの移籍が噂されるノアのKENTA(32)に集中。本人は否定したものの、マット界の大御所や先輩レスラーは、ナイーブな話にも構わずWWE移籍を猛プッシュした。

 シリーズのオフを利用し、KENTAが渡米したのは先月27日のこと。WWEが直営するフロリダ州オーランドにあるジム、パフォーマンスセンターで練習した。これが発端となり、米国の一部メディアで今夏にもWWEデビューとまで報じられた。移籍騒動以来、この日初めて公の場に現れたKENTAの発言に注目が集まった。

 KENTA:4日間ぐらいでしたけど、環境を変えて練習してよかったと思います。移籍? いえいえ全然。(WWEに)憧れはずっと持ってますし、チャンスがあれば、というのは事実です。それと今回のことは全然違う。先のことは分からない。何かあれば状況が変わってくるかもしれないし。

 早期のWWE移籍には否定的だったKENTAだが、気の早い周囲の反応は正反対だ。かつてWCWでグレート・ムタとして一大ブームを巻き起こした武藤敬司(51)は、海外マットでの成功の秘訣を伝授した。

 武藤:いいじゃん! もう1億円ぐらいもらったんじゃねえか!? やっぱり外に向けて発信していかないと。地でいって通用したら成功するよ。合わないキャラクターに着飾ってもしょうがない。外国人が思ってる日本人、忍者のとらえ方は違う。別人格をあてがわれるかもしれないぞ。

 元横綱曙(44)は2005年4月の「レッスルマニア21」に出場し、ビッグショーとのスモーマッチに激勝。当時の記憶は今でも鮮明に残る。

 曙:日本とは全てのスケールが違うし華やか。WWEから何を求められてるかを早い段階で分かれば、うまくいく。プロレスラー・曙としてタッグパートナーに呼んでください。

 帝王・髙山善廣(47)は自身の体験からKENTAのWWE行きを強く推す。

 髙山:今のうちに行った方がいい。俺みたいにオッサンにならないうちにさ。(04年8月に)脳梗塞をやる前も休んでる間もオファーをもらったけど、そのうちにジョニー(・エース=ジョン・ローリネイティスWWE副社長)も力がなくなり…。ただ、1億は安い。最低でも10億円からだ。(日本公演の時は)リングサイドで待ってるぞ!「KENTA」のプラカードを持ってさ、ガッハッハ。

 また、師匠に当たる小橋建太(46)も引き留めない方針だ。小橋はWWEの前身であるWWF時代から「話はあった」と強調しつつ、こう話した。

 小橋:今日、本人と話をしたけど、自分の道を自分で決断してほしい。悔いの残らない行動であればいい。そっとしておいてほしいのが本心。ところで、来年の豆まきは呼んでくれないのか?

 そして、トドメはSWS時代にWWFと業務提携を結び、1991年のレッスルマニアに登場した天龍源一郎(64)だ。

 天龍:WWEに行ったら絶対彼のためになるよ。3万人、5万人入る会場で2階席の一番後ろの人にまで伝えられるか。トップに上がるには、分かりやすい破壊力のある技を見つけないといけない。体もあと30%ボリュームアップが欲しい。後悔するな。安心しろ。KENTAがいなくなれば、俺がノアにヘルプに行ってやるから。日本人らしいインパクトのあるリングネームがいいな。そう、「清水健太郎」がいいぞ。

 KENTAを置き去りに、トップ会談はWWE移籍を全面支持。タジタジのKENTAは最後にこう締めくくった。

 KENTA:向こうでやる時は「清水健太郎」と決めてました。偶然にも…。冗談ですよ(笑い)。自分としては、やらないで後悔したくない。ただ、今回のこととは違いますから!