【新日本プロレス・東京ドーム大会(4日)】

 ゴールデンスター・飯伏幸太(31)は、IWGPジュニアヘビー級王者のプリンス・デヴィット(32)を撃破し、3度目の戴冠を果たした。

 三度目の正直だ。飯伏は2011年と昨年の1・4決戦で同王座に挑戦しているが、いずれも敗北。それも相手はともにデヴィットだった。何ともゲンが悪いが、今回のデヴィットは死神の全身ペイントで棺おけから登場。不吉なムードをいっそうあおった。

 さらにデヴィット率いるバレットクラブの面々が序盤から介入。ロープに走った飯伏はリング下からアンダーソンに足をすくわれ、そのまま場外に落とされ、袋叩きにされる。そしてアンダーソンにパワーボムで投げ捨てられ、後頭部がエプロンの角に直撃。フラフラの飯伏にイスが何度も振り下ろされ、会場は「帰れコール」一色となる。

 これらの暴挙に業を煮やしたサブレフェリーが総出でセコンド陣を会場から締め出し、ようやくシングルマッチの体裁が整った。しかし、10分以上も“ハンディ戦”を強いられた飯伏に余力はほとんどない。死に体の挑戦者にデヴィットの必殺リバース・ブラディサンデーが突き刺さる。これで終わったかと思われたが、飯伏の執念は断ち切られていなかった。

 カウント2でハネ返すと、逆にオーバーヘッドキックを発射。クールな男が珍しく感情むき出しのラリアートをブチ込み、一気にポスト最上段に駆け上がった。火の鳥スプラッシュ一閃。16分22秒、大逆転の3カウントが告げられ、飯伏が“死神”を葬ると同時に1・4の悪夢を振り払った。

 同王座3度目の戴冠だが、新日とDDTのダブル所属となって初めてのタイトルだけに喜びもひとしおだ。「デヴィットは今まで以上に悪くて強かったけど、今はサイコーです」と笑顔がはじけた。

 試合後にはギターケースを抱えた謎のマスクマン、エル・デスペラードから黒い花束を贈られ、何やら耳打ちされた。挑戦表明だった様子だが、飯伏は「日本語だったと思いますが、分かんなかったです」ととぼけたが、対戦には応じる意向だ。「ベルトを取ったからには防衛戦がたくさんある。最低でも1年はベルトを持ち続ける」と誓う飯伏が今年の新日ジュニア界をけん引する。