2013年のプロレス界で主役の座を担ったのが、新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(26)とIWGPインターコンチネンタル王者・中邑真輔(33)だ。東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞でオカダが2年連続MVP、中邑がベストバウトをそれぞれ受賞。2014年1月4日東京ドーム大会でもダブルメーンを務める2人は、2014年の野望と、さらには中邑の代名詞「イヤァオ!」の誕生秘話も明かした。
――2013年を振り返って
オカダ:そうっすね。…いい1年でした。
中邑:(笑い)。まあ『いい1年』って言っても、他の人と求められることが違ってのいい1年でしょうから。でもそれが慣れてくるんだよね?
――中邑選手から見た13年のオカダ選手は
中邑:「持ってんなっ」て感じですよね。オカダがジェラシーを抱く対象や世代が上になってしまうのはかわいそうですけど、独走すんならガッツリ行った方が自分のため、プロレス界のためだったりするんじゃないでスか。
オカダ:確かにライバルというか、同世代でジェラシーを抱く人はいないっスね。
中邑:特殊なんだよ。同い年でオカダくらいのキャリア持ってるヤツ、ほとんどいないもんね。中卒でメキシコ行って…。
オカダ:あの、中卒じゃなく『15歳で』って言ってもらえます? 別に気にしてるわけじゃないですけど(笑い)。
中邑:そうだ…俺がバイク盗んで走ってる時にオカダはメキシコ行ってるわけですよ。まあ経験値の積み方は人それぞれってことで。でも特殊だよね、海外で見ても。
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――ともあれ2年連続MVPは25年ぶりの快挙。一方でベストバウトは中邑選手が初受賞した
オカダ:よく(ベストバウトを逃して)悔しいかって聞かれますけど、普通です。13年はそんなに自分で心からよかったって思える試合はなかったっすから。
中邑:俺は自分が面白いと思った試合を他人に評価されるっていうのがほとんどなかったんで。(受賞は)「へぇ~」って。縁のない賞だと思ってたし。
――1・4ドームでオカダ選手は内藤哲也と、中邑選手は棚橋弘至と防衛戦。ファン投票でダブルメーンの試合順はIWGPが先になった
オカダ:悔しいっスね。東京ドームのメーンは(2013年に)勝てなかったんで、2014年こそはって思ってた。でも悔しい気持ちはここ最近なかったんで。しっかり選手権試合をやるつもりではあります。
中邑:何で投票になったのかは分からないですけどね。でも自分の中では「ナメんなよ」って気持ちがあるわけですよ。自分のやってることに関して。強引な風が吹いたっていうか、そういうものを感じますね。
――ファン投票ではなく、リング上でまた2人が対戦する可能性は
オカダ:戦いたい気持ちはありますよ。12年のG1でも負けてますし。
中邑:俺はヤダ。勝ち逃げしたい(笑い)。オカダがこれからも名前が上がって行っても「でも中邑は勝ったらしい」って。引っ張るところまで引っ張ったほうがよけい面白くなるかな。
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――同じユニットにもかかわらず2トップのそろい踏みは珍しい
オカダ:そういえば聞きたかったんですけど「イヤァオ!」って何で生まれたんですか?
中邑:やっぱどっか気持ち悪さが欲しいんで。最初は確か後楽園だったと思うんだけど、いきなり叫んだときに(観客が)失笑? 苦笑? みたいな感じで、それがいい感じだったんだよ。みんなドン引きみたいな。俺そういうのすごく快感なんで。言いまくってたら定着しちゃった。
オカダ:たまにマスコミさんでも表記バラバラだったりしますよね。
中邑:某サイトなんてすごいよ。「中邑はイヤッホーと叫んだ」って。山かって(笑い)。あれは面白かった。「イヤァオ!」に商標登録したほうがいいのかな…かと言ってそれって「特にカネになりません」だけど。
オカダ:僕もそういうの(決めゼリフ)がないと外道さんから卒業できないっスかね。イベントとかでも「締めで『カネの雨が降るぞ』って言ってください」って頼まれるんですけど…。
中邑:それは「俺(のセリフ)じゃないぞ」ってね。そういうのはわざわざ準備していくわけでもないし。でも「カネの雨」も地方ではご当地ものに合わせるとかどう?
オカダ:1回あったんですよ「カネの雨がふるバイ」ってのが。福岡にプロモーション言ったときに方言で言ってくれって。
中邑:そのうちほら「志村けんで言ってください」とか。「(志村のマネをしながら)カネの雨が~、チャリンチャリーン(オカダテーマ曲のイントロ)」って(笑い)。
――最後はマジメな話で…。2014年の抱負は
オカダ:大きな会場が続きますからね。楽しませることを、自分も楽しんでやりたい。ベストバウトいけるんじゃないか?って言われる試合を増やしたいですね。
中邑:「変身」ですね。3か月で細胞が入れ替わるわけでしょ、人間は。今まで培ってきたものを捨て去ってもまた新しい自分になりたい。14年も変化を求めたいかな。