【プロレスPLAY BACK(97)】新日本プロレス29日の東京・明治神宮野球場大会が、いよいよ目前に迫った。メインは2冠王者のEVIL対内藤哲也のIWGPヘビー級・インターコンチネンタルダブル選手権。新日本では実に21年ぶりの神宮決戦となるが、前回1999年8月28日大会のメインは超絶な異次元マッチだった。グレート・ムタ対グレート・ニタの「ノーロープ有刺鉄線バリケードマット時限装置付き電流地雷爆破ダブルヘルデスマッチ」で、神宮球場に鎖鎌、毒霧、火の玉が飛び交い、時限爆弾装置のサイレンが鳴り響いた。

「8月28日神宮球場大会でグレート・ニタを葬ったグレート・ムタが『生誕の地アメリカに帰る』と表明。代理人の武藤敬司が米WWFマットに乗り込む構えを明かしたもの。かつてWCWマットを震撼させたムタがリニューアル復活を目指す。

 ムタは初の電流地雷爆破マッチで被弾。武藤は『あれは効くんだね…』と語った。予告通りに邪道の化身を棺おけに封じ込めたが、一部のファンが不満をアピールしたことで『久しぶりにファンをヒートさせてしまった』と後悔を隠せない。プロとしては納得のいかない勝利に、武藤は『ニタは自分のパフォーマンスにおぼれすぎた。パフォーマンスも大事だけど、やはりレスラーはフィジカルなものが大切だ』と永遠の眠りについたニタにトドメを刺した。

『もう国内でムタの相手はいなくなった。今度は新時代に入った米国マットでムタの新たな挑戦を始めたい』。ムタは約10年前、WCWマットでリック・フレアー、スティング、レックス・ルーガーらと覇を競い合った。現在のWCWはWWFと全米テレビ戦争を展開しているため『もう日本に定着している場合ではない』と、本来の血が騒いだようだ。

『特にムタが経験していないWWFに興味が湧く。アンダーテイカー、ケインらムタが求める相手に不足はない。今の米国マットは時代が違うことも、層が厚くなっていることも承知している。だからこそ全米進出に燃えている。ニタ? ムタにはやるべきことがたくさんあるし、もう振り返ることはない』と力説した。天才の化身と邪道の化身は一期一会。ニタとの戦いはやはり真夏の夜の夢だった」(抜粋)

 21年という歳月が経過したが、代理人の武藤も大仁田厚もまだまだ元気。ムタのWWF(現WWE)参戦という夢はまだ実現していないが、アンダーテイカーとの墓場埋葬マッチなど想像しただけで心が震えてくる。

 両雄は衰えを知らず武藤は10日にノアの若きエース・清宮海斗との初シングル戦を制したばかり。大仁田も27日に3年ぶり8度目の引退をかけた「負けたら引退」というとんでもない爆破マッチを控える。当時は「まさか」と思ったものだが、再び交わる日が訪れるかもしれない。