棚橋選手の付け人・辻選手のマット叩きに感じた「新たな応援文化」

2020年07月03日 11時00分

6月22日の試合後、辻(後方)は棚橋(手前)のピンチに飛び込んだ

【プロレスキャスター・元井美貴の本日、プロレス日和】止まっていたプロレスの時間が、また動き始めましたね! 6月15日に新日本プロレスの試合が110日ぶりに行われ、再開と同時に第一線の熱い戦いが戻ってきました。お客様がいらっしゃらない「無観客」の中でも、矢野通選手が「(声が)聞こえるぞ!」と叫びながら「ヤノ・トー・ル」コールを要求するなど、ファンの存在を感じさせる戦いを見せていました。

 トレーニングでさらに大きくした体を削り合うような試合内容に感動したのはもちろんですが、中でも元井が心を動かされたのは、6月22日のタイチ選手と棚橋弘至選手の試合中、セコンド業務に就いていた辻陽太選手です。付け人をしている棚橋選手のTシャツを着用し、何度も何度もマットを激しく叩いて棚橋選手を応援していたのが印象的でした。

 途中から数え始めたのですが、元井調べでは100回以上もマットをバンバンと叩き、そのたびに会場中から手拍子が聞こえてくるようでした。離れた場所で見ているファンの皆さんの気持ちを音に乗せて表しているように感じました。

 そんな辻選手を見て、棚橋選手の言葉を思い出しました。以前のリモートプロレスで、メキシコのルチャ・リブレ団体「CMLL」の試合を配信した際のゲスト解説で興味深いコメントをされていたのです。メキシコでは鳴り物の楽器を使った応援が一般的ですが、「これからは日本でもタンバリンを持ったり、楽器で応援するのはどうかな?」という内容のことをおっしゃっていて「ハッ」としました。

 新日本プロレスから発表された「興行における新型コロナウイルス感染症対策ポリシー」によると、会場で観戦されるお客様への協力依頼内容として「大声での声援などを行わないこと」が挙げられています。声援の代わりに楽器の使用や選手のコスチュームカラーをアピール、サイリウム(ペンライト)を利用するなど、応援の仕方も変化していくかもしれませんね。

 メキシコでは、テクニコ(正規軍)への応援とルード(悪い人たち)への応援の際に、同じ楽器でも鳴らすリズムで区別をしています。これからの日本のプロレスでも、五感をフルに使って会場で一体になれる新たな応援文化が生まれたらと思います。