【世界のレジェンド ライガーが語る獣神激論(3)】獣神サンダー・ライガーが毎月気になる話題やプロレス論を語る「獣神激論」今回のテーマは、新日本プロレスの再開だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響による活動自粛を経て、15日の無観客試合から始動したリングをどう見たのか――。

 いよいよ新日本プロレスが活動再開しましたね。僕も解説をやらせてもらったけど、選手、スタッフ、みんな生き生きとしてました。やっと帰ってきた、長かったね~。ファンの人はもちろん、レスラーもみんな試合をしたいんですよ。欲を言えばファンの皆さんの前で声援を受けながら試合をしたいでしょうけど、その第一歩ですよね。

 僕はスターダムさんでも無観客試合の解説をさせていただいたんですけど、最初は不安だったんです。でも選手は一生懸命戦ってるし、僕らは素直にすごいと思ってて、いつもとね、変わらないんだよ。師匠のアントニオ猪木さんからは「ファンの気持ちを手のひらに乗せて転がす」ことをよく言われたんです。それを意識しなくていいから、逆に目の前にだけ集中できていいのかもね。

 とはいえ、やはり画面の向こうにはお客様がいるんだということだけは絶対に忘れちゃいけない。お茶の間に戦いが届くような試合をしていただきたいなと思います。
(再開した試合では)選手もみんな体がでかくなってて動けてた。俺、上村(優也)選手に言ってたんです。「試合が始まるまでシャツ脱ぐなよ。試合が始まる時にシャツを脱いだら、絶対みんなびっくりするから」って。それくらい体つきが変わってた。

 やっぱ若い選手って乾いたスポンジと一緒で水をガンガン吸うね。今回の期間で一番成長したのは上村、辻(陽太)、ゲイブ(リエル・キッド)の3人だよ。彼らは歯を食いしばって再開の日を信じながら、コツコツと積み重ねてきた。道場がいかに大事な場所かが分かるし、ファンの方にはこういうところも見てほしいなって思いますね。

 7月11、12日の大阪城ホール大会からはお客さんを入れての大会もスタートします。まだ昔みたいに、ぎっちり入っていただくことはできないんですよね。収容人数の3分の1からと言ってるし。ソーシャルディスタンスでガランガランな感じに見えるかもしれない。それでも新日本プロレスの選手は変わらずに「すごかったよね」って言ってもらえるものを届けてくれるはずだよ。

 僕は何の心配もしてないし、その試合が明日につながるんだから、今からワクワクしてます。このコロナが完全に終息した時、プロレスはより強くなって、より浸透していると思うな。やっぱり一歩一歩が大事なのよ。それはみんな分かってると思うし、大阪城を楽しみにしてます。