馬場を血だるまにしV22を阻止 “黒い魔神”ボボ・ブラジル

2020年06月20日 11時00分

新王者になったブラジルは歓喜のVサイン

【プロレスPLAY BACK(89)=1968年6月25日】全日本プロレスの和田京平名誉レフェリーによる本紙連載「王道を彩った戦士たち」の第1回に登場したのが“呪術師”アブドーラ・ザ・ブッチャーだ。和田氏はブッチャーを「黒人選手としてのプライドを持ったプロ中のプロ」と評したが「黒人選手で、誰からも尊敬された別格の選手がいた」とも語った。それが“黒い魔神”ことボボ・ブラジルである。

 日本プロレスの祖・力道山と名勝負を繰り広げ、米国ではベビーフェースとして活躍。力道山亡き後は、ジャイアント馬場とインターナショナルヘビー級王座を巡って抗争を展開した。今から52年前の1968年6月25日、ブラジルが馬場のV22を阻止。鉄人ルー・テーズ、力道山、馬場に次ぐ第4代王者となった。

「インターナショナル選手権者ジャイアント馬場にWWA認定世界ヘビー級王者ボボ・ブラジルが挑んだ一戦は25日、愛知県体育館で行われ、故力道山の偉大な記録(V20)を破ってきた馬場が血ダルマで惨敗。王座を奪われた。

 試合はスタートから大爆発の波乱を含んだスリリングな展開に。1本目は馬場が好調に飛ばし、必殺の16文キックから32文ドロップキックで場外に吹き飛ばしたが、ブラジルは場外で反撃。電撃のコブラツイストをかけて馬場を地獄のワナに捕らえた。カウントの中、両者動けずリングアウトで1―1。これで著しくスタミナをロスした馬場は2本目、ブラジルの鉄槌の頭突きで大きくリング下に吹き飛ばされた。チャンスと見たブラジルは馬場の額を叩き割り、リングに上げて狂乱の頭突き3連発。馬場は血ダルマで半失神状態だ。そこへトドメのココバット(ヤシの実割り頭突き)を叩き込まれ、王座を強奪された。

 65年11月の大阪大会で王者となって以来2年7か月で王座から転落。22回連続防衛はならなかった。馬場はあす27日、東京・蔵前国技館で新王者ブラジルに復讐戦を挑む。馬場は『負けた! ブラジルという男は予想以上に偉大で恐ろしい男だった。作戦も裏をかかれ、彼の肉体的な強さ、超人的な強さに負けた。5年前にニューヨークで戦った彼とは別人だった。27日は捨て身でブラジルに挑む。負けたら潔く引退する』と語った」(抜粋)

 倒れる馬場の横で仁王立ちする魔神の肉体(195センチ、127キロ)は、素晴らしい均整を保っている。当時は日本中の小学生が興奮してココバットをまねしたものだ。結局、馬場はこの記事の決意通りにリマッチに快勝して王座を奪還。一方のブラジルはその後も馬場のライバルとして活躍し、94年には黒人選手のパイオニアとしてWWF(現WWE)殿堂入りを果たしている。(敬称略)