東京女子プロレス2020年年最初のビッグマッチ、4日の後楽園ホール大会メインで行われたプリンセス・オブ・プリンセス選手権は、王者の坂崎ユカ(年齢不詳)が最強挑戦者の山下美優(24)を退けて初防衛に成功した。

 女子プロレス界の20年本格開戦を告げる「イッテン・ヨン後楽園」は何と超満員1467人を記録。東京女子史上最多となる全9試合が組まれた。

 メインの王座戦は、ちょうど4年前の後楽園大会で初代王者となった山下が開始から猛ラッシュを仕掛ける。空手仕込みの左右ミドルキック、三角蹴り、王者を座らせて顔面蹴りと的確にハードヒットを続け、10度の史上最多防衛記録を樹立した第2次政権時代(18年1月4日~19年5月3日)以来となる3度目の王座奪取へ大きく前進した。

 しかし、同王座史上最大の舞台となったDDT昨年11月3日両国国技館大会で、驚異の発想力と跳躍力で中島翔子(28)から王座を奪った坂崎も譲らない。エプロンからのウラカンラナを号砲に場外机上プレス、魔法少女プランチャ、グラウンドに持ち込んでのクロスヒールホールド、さらには立ち上がって回転式エルボーとスピードあふれる攻撃で形勢を五分に戻した。

 それでもエースの座奪還に燃える山下も、異様な殺気を全身にみなぎらせて前進する。エプロンでのアティテュード・アジャストメントを決めると、魔法少女スプラッシュをヒザで迎撃。高角度のジャーマンから側頭部へ左右のPKを決めるも、カウントは惜しくも2・9に終わった。

 ここで勝負に出た山下が走り込むや、王者はマジカルメリーゴーラウンド(変型回転顔面砕き)の体勢からスーパープレックス。最後は必殺のマジカル魔法少女スプラッシュを決めて、初防衛に成功した。

 戦前には優位とされていた山下は「あの発想力はすごい。負けました。でも私のアゴはこれくらいでは折れませんから!」と潔く敗戦を認めながらも、持ち前の気の強さを見せつけた。

 一方、最強挑戦者を撃破した坂崎は「入場して超満員のお客さんを見た瞬間から、アドレナリンがすごかった。1500人から3000人、そしてさらに上へと、団体として選手の底上げもしつつレベルアップしていきたい」と20年の野望を掲げた。

 東京女子は4月3日に初の米国・フロリダ大会、5月3日後楽園大会を控える。そして、この日は収容約3000人を誇る初の東京ドームシティホール大会(11月7日)開催も発表された。

 坂崎は昨年3月の米AEW旗揚げ戦(ラスベガス)も経験しており、来週には英国遠征に出発して11日のプロレスリングEVE大会参戦も決まっている。日本と世界を往来しつつ、王者として団体のレベルアップを支える立場になったわけだが「目標は世界。選手一人ひとりがお客さんの心をつかめるように、今年は積極的に肉食系でガッツリ行きます!」と158センチの小柄な体全身に闘志をたぎらせた。