日本人の心に永遠に刻み込まれた白覆面と力道山の激闘

2019年11月12日 16時30分

2度目のシングルで力道山(左)を追い込むデストロイヤー(63年12月2日)

【プロレスPLAYBACK】3月7日に死去した“白覆面の魔王”ザ・デストロイヤーさん(本名リチャード・ベイヤー=享年88)の追悼大会が15日、東京・大田区総合体育館で開催される。メインでは武藤敬司、宮原健斗、獣神サンダー・ライガーが夢のトリオを結成。SANADA、KAI、BUSHI組と激突する。また芸能界のゴッド姉ちゃんこと歌手、和田アキ子の来場も決定するなど、一時代を築いた名マスクマンの追悼大会にふさわしい豪華なメンバーが揃った。

 今から56年前の1963年(昭和38年)12月2日東京体育館で、故人は日本プロレスの祖・力道山と2度目の対決を行った。同年5月24日同会場での初対戦では、デストロイヤーの足4の字固めに力道山がギブアップしなかったため、両者レフェリーストップにより引き分けに。魔王がWWA世界ヘビー級王座を防衛した。この死闘は64%の視聴率(日本テレビ系)を記録し、世界のプロレス史に残る名勝負とされる。

 2度目の対戦はデストロイヤーが力道山のインターナショナル王座に挑戦する形で実現。当時の本紙は1か月以上も前から世紀の一戦へ向け、両雄の詳細を1面で報じた。11月30日発行本紙1面では、前夜のリキ・スポーツパレス(渋谷)でのタッグ前哨戦の様子が掲載されている。力道山はグレート東郷、魔王は狂犬ことバディ・オースチンをパートナーに火花を散らした。

「覆面の魔王デストロイヤーが東都のプロレスファンに初お披露目とあって、リキ・スポーツパレス始まって以来の超満員(3500人)。1本目は魔王がテクニシャンの本領を発揮して次々と新必殺技を披露。力道山の宝刀・空手チョップと激突した。しかし東郷へのドロップキックが自爆。ニードロップも失敗して片エビ固めで先制された。2本目で魔王が狂乱ファイトを展開。東郷の頭をビール瓶で叩き割り、血の海でKO。オースチンが最上段からのニードロップでタイに持ち込んだ。3本目は両軍が血しぶきを上げて大乱闘。魔王は沖レフェリーまでめった打ちにして反則負けとなった。これで前哨戦の通算成績は2勝2敗のタイとなった。【魔王この日の必殺技(1)フィギュアフォーヘッドシザース(2)ニースタンプ(3)ドロップキック(4)バックブリーカー】」

 結局12月2日の決戦は、力道山が3本勝負を2―1で勝利して王座を防衛。そのわずか13日後、力道山は暴漢に刺された傷が原因で帰らぬ人となった。力道山と魔王の戦いはわずか7か月間だけに終わり、シングル戦は力道山の1勝1分けだった。それでも日本人の心、そしてデストロイヤーの胸に永遠に刻み込まれる激闘となった。 (敬称略)