武藤敬司(56)が26日、東京・後楽園ホールで行われた革命戦士・長州力(67)のラストマッチ「POWER HALL 2019」(26日、東京・後楽園ホール)で、約1年3か月ぶりの復帰を果たした。

 革命戦士の最終章は、プロレス界の大スターの復活の舞台ともなった。武藤は藤波辰爾(65)、真壁刀義(46)とトリオを結成し、長州、越中詩郎(60)、石井智宏(43)組と対戦。石井に対してフラッシングエルボー、低空ドロップキック、ドラゴンスクリューからの足4の字固めを繰り出し会場を沸かせた。試合終盤には長州にシャイニングウィザードを発射。真壁の勝利をアシストした。

 プロレス生活で酷使した両ヒザの故障に長年悩まされていた武藤は、2018年3月末に現役を続けるための選択肢として人工関節置換術を受けた。手術後の復帰条件は、代名詞だったムーンサルトプレスを封印すること。欠場前最後の試合となった18年3月14日のW‐1後楽園大会では現役最後の月面水爆を放ち、欠場期間に突入した。

 その後のリハビリを経て、今年4月には武藤が代理人を務めるグレート・ムタが米国マットで復活。一気に機運が高まっていた武藤復帰の舞台が長州ラストマッチとなったのも運命めいていた。

 この試合を前に武藤は本紙のインタビューで「自分との闘いでいっぱいいっぱい。人工関節はまだなじんでないけど、待っててもしょうがねえし。そこを埋める作業がこれからのプロレス人生になる」と不安を吐露しつつも「今までの武藤敬司と変わらない武藤敬司を見せること」と決意を語っていた。

 その言葉通り、欠場前と変わらぬ輝きを放ち「俺は今日がスタートだからね。大変だったっすよ。いくら練習しても息のあがりから違うから。まだまだ伸びしろすごいあるから、生涯を通してその伸びしろを埋める作業をしていきますよ」と宣言。その一方で長州には「10カウントゴングやってないよね。また復帰するんじゃない?」と冗談めかしつつ「試合見てて、元気なのに引退されるのはもったいないなって。逆に引退してプライベートで遊べるんじゃないかなって期待もありますけど」と惜別の言葉を贈った。