小橋さんをラリアートで介錯したい

2013年05月11日 08時00分

【連載7】5・11武道館 さらば鉄人 小橋建太

 俺が介錯する。小橋建太(46)の愛弟子で現世界タッグ王者の潮﨑豪(31)が、鉄人伝説の幕引き役となる。腎臓がん発覚時に小橋の付け人を務めていた潮﨑は、間近で鉄人の壮絶な生きざまに接した。ラストマッチの舞台に選ばれた恩を返すためにも、自分の手で3カウントを奪う決意だ。

 熊本・東海大第二高校(当時)2年時の2000年1月10日、潮﨑は地元で開催された世界タッグ戦(小橋、秋山組対ベイダー、ジョニー・スミス組)でタイトル戦を初めて生で観戦。壮絶な試合内容と小橋のファイトに、衝撃を受けた。

 潮﨑:まさにザ・プロレスラーだと思った。自分の手の届かない世界の人。レスラーになるなんてその時は思わなかった。それが今は小橋さんの引退試合の相手に選ばれ、秋山さんとその世界タッグを持っている。感無量です。

 03年に入門後、05年から小橋の付け人を務めた。「24時間頑張っていつでも青春真っ盛りの人が本当に存在するとは思わなかった」(潮﨑)というほどプロレス漬けだった鉄人から、レスラー哲学を学んだ。腎臓がんが発覚した06年も当時の小橋のパートナー・本田多聞とともにそばから鉄人を見守り続け、復帰戦へ向けたスパーリングの相手にもなった。

 潮﨑:自分がチョップやラリアートを使い始めたのは、小橋さんが休んでいる時から。「コピー」「物まね」と批判されて悩んだ時期もあったけど、命をかけて再起へのトレーニングを積んでいる小橋さんを見ていたら、そんなものは吹き飛んだ。復帰戦へ向けて道場では多聞さんを相手に1日2000発チョップを打っていた。すごい人です…。

 小橋は昨年2月のALL TOGETHER仙台大会で両ヒザを負傷して長期欠場したが、本来なら同年3月の横浜大会で潮﨑とコンビを組んでGHCタッグ王座に挑戦する予定だった。昨年末に潮﨑はノアを離れ、今は秋山らとのバーニングで全日マットを主戦場とする。師匠との再会は永遠の忘れ物となるところだったが、小橋の指名で、再び同じリングに立つ幸運に恵まれた。

 潮﨑:信じたくない気持ちもあるけれど、ホッとした気持ちもある。5月11日は最高の小橋建太で終わってほしい。もちろん自分が介錯したい。ラリアートで3カウントを決めて、自分が後継者であることを満天下に知らしめたい。その上で自分はバーニングの看板を守り抜く。この手で小橋建太を伝説にします。