プロレスの祖・力道山が眠る東京・大田区の池上本門寺で3日、恒例の「節分追儺式(ついなしき)」が行われ、マット界の団体首脳が集結した。元ノアの鉄人・小橋建太(51)をはじめ、新日本プロレスの1強時代に立ち向かうW―1の武藤敬司会長(56)と全日本プロレスの秋山準社長(49)、そしてノア丸藤正道(39)が気になる本格交流について口を開いた。果たして“大連立”はあるのか――。

 昨年から全日本を中心にノア、W―1との交流が開始された。今年に入ると全日本の“暴走大巨人”こと諏訪魔(42)、石川修司(43)組がノア上陸を予告するなどさらなる接近を予感させる。

 この流れで3団体による本格交流が始まり、業界盟主の新日本に対抗する勢力はできるのか。口火を切ったのは、引退後も定期的にプロデュース興行を開催し、業界の動向を注視する鉄人だ。

 小橋「新日本は時間をかけてここまでつくったんだし、1強時代はしばらく続くだろうね。(他団体の現状は)寂しい。1つになるのも難しい。ただ、どこか1つ飛び抜ければ、何かが起きるんじゃないかと思うけど」

 暴走大巨人の意向を受け、一度はノアとの本格交流を許可したのが全日本だった。大連立実現ならば“くさび”になる可能性もあったが、秋山社長は慎重な姿勢だった。

 秋山「(新日本との差が)試合のクオリティーだけじゃないところにあるので、なかなか難しい。ここ何年か分裂だなんだとあって(全日本としては)まずはファンの方に安心してもらうことが先決だったし。(団体同士)手を組むのはね…。それにデカいところに対して小さいところが集まって戦いを挑むのって、なんか情けないじゃない。それより今は各団体が力をつけていくことが大事だと思う」

 一方のノアは今月1日から新体制に移行し、当面の“鎖国政策”を打ち出したばかり。その状況で主力選手の丸藤は競争原理の重要性を説く。

 丸藤「対抗するために力を合わせてっていうのは違うでしょ。1発の興行とか1つのシリーズとかならできるかもしれないけど、終わった時に(新日本と)もっと差をつけられているような気もするし。それより切磋琢磨が大事。新日本が100だとして、みんなで1足す1足す1…ってやってたら、いつまでたっても届かないじゃん。だったら30足す40足す50になるくらいにしないと」

 最後に武藤の言葉は辛辣だった。

 武藤「弱いところ同士が手を結んでもな。ゼロ同士じゃ、いくらかけてもゼロにしかならねえじゃねえか。これからは新しいシステムをつくったところが強いし、生き残る。新しい感覚のビジネススタイルや、突拍子のない考えがないとな」

 ファンが期待した3団体による本格交流は事実上、決裂した。小橋が「各団体とも今年が勝負になる。どこまで伸びるかじゃないか」と予期するように、まずは業界2位争いが激化しそうな雲行きだ。