今年で45回目を迎えた東京スポーツ新聞社制定「2018年度プロレス大賞」選考委員会が12日、東京・江東区の東京スポーツ新聞社で開かれ、最優秀選手賞(MVP)は新日本プロレスの棚橋弘至(42)が4年ぶり4度目の受賞を果たした。また年間最高試合賞(ベストバウト)は新日本プロレス6月9日大阪城ホール大会のIWGPヘビー級選手権、オカダ・カズチカ(31)VSケニー・オメガ(35)が選出された。授賞式は来年1月17日に都内のホテルで行われる。

 MVP候補には棚橋、ケニー、オカダの名前が挙がった。IWGPヘビー級王者として世界中のファンを魅了するケニー、5月にIWGP王座新記録となる連続防衛12回を達成したオカダに対し、棚橋は真夏の祭典「G1クライマックス」での復活優勝が高く評価された。

 また主演映画「パパはわるものチャンピオン」の公開、TBS系の人気番組「情熱大陸」に出演するなど、リング外でもプロレス普及に尽力。「活動の幅が広く、プロレスの社会的地位を向上させた」「プロレスの面白さを全国、まだファンでない人たちに伝えた」と称賛の声が相次ぎ、1回目の投票で23票中18票を集め4年ぶりのMVP返り咲きを果たした。

 過去3度のMVPと比べても「一番うれしい」と破顔一笑の棚橋は「プロレスを見たことのない人にいかに届けるかを常に考えていて。気づいたことは一般的な知名度と(観客)動員は比例する。『クソ有名になります』と言い続けてきて、それが成就した一年だったのかな」と充実の2018年を振り返った。

 浮き沈みの激しいドラマチックなレスラー人生は、平成のプロレス界と重なる部分が多い。2000年代は「暗黒時代」と呼ばれ、観客動員も激減した。だが棚橋を筆頭としたレスラーたちのたゆまぬ努力とファンサービスが結実し、新日プロはV字回復を果たした。その立役者となった平成の大エースこそ、平成最後のMVPにふさわしい。

「まだ2年連続(MVPを)取ったことがないんですよね。平成最後のMVPなので、新元号最初のMVPも取りますよ。“元号またぎ”します。『100年に一人の逸材』感が増しますね」と、野望を口にした。

 4度のMVPはアントニオ猪木の6度に次ぐ歴代2位タイで、天龍源一郎、武藤敬司の両巨頭に並び、平成デビュー組では初の快挙。昭和の時代を彩ってきた名レスラーたちに追いついた棚橋は「猪木さんの追撃態勢に入りましたね。天龍さんが引退されて、武藤さんが一線を引いているなかで、追撃できるのは俺しかいない。記憶と記録を塗り替えていきます」と力強く宣言した。

 その第一歩が来年1月4日東京ドーム大会でのケニーとのIWGP戦だ。「(16、17年のドームで)オカダ、内藤(哲也)に連敗して世代交代を許してきた。時代の流れかと諦めてた方もいたと思うんですけど、気持ちは途切れていなかったので。2年間ドームのメインから外れてどういう思いでやってきたのかをぶつけたいですね」。長きにわたりプロレス界を照らし続けてきた太陽。何度沈もうとも、日はまた昇る。