“呪い”を解くのはこの男なのか。新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」(2日、福岡市民体育館)のAブロック公式戦、オカダ・カズチカ(30)が鈴木みのる(50)を下して5勝目を挙げた。開幕2連敗から怒とうの5連勝で巻き返しに成功。4年ぶり3度目のG1制覇はあくまで通過点でしかないレインメーカーには、自らに義務づけた使命がある。

 難敵をものともしなかった。ここ2戦を30分時間切れ引き分けに終わったみのると激突したオカダは、激しい場外戦を耐え抜いた。最後はゴッチ式ツームストーンパイルドライバーで突き刺すと、ローリング式レインメーカーから正調レインメーカーで激闘に終止符。「俺が立ち止まったの見たことないでしょ? まだまだ突っ走りますよ」と逆転Vを予告した。

 6月の大阪大会でケニー・オメガ(34)に敗れ、2年間保持したIWGPヘビー級王座を失った。その後は白星から見放されスランプもささやかれたが、この5連勝で棚橋弘至(41)に次ぐ2位タイに浮上した。

 気持ちにも余裕が出てきた様子で、試合前には「鈴木さんは2戦引き分けてますし、EVILは去年の大阪(G1公式戦)でやられてますし、棚橋さんは調子良さそうですし。気は抜けないですけど、因縁のある相手で(手の内が)分かっているのは逆に良かったかなと。もう波乱は起きないです」と口にする姿があった。

 過去のデータも後押しする。丸腰で臨んだG1は過去2度とも優勝しているのだ。もはやレインメーカーが見据えるのは、G1制覇のその先だ。2012年大会制覇時に自身が提唱し、その後に恒例となったのがG1覇者の翌年1月4日東京ドーム大会でのIWGP王座挑戦権利証獲得だ。だが、過去全ての権利証保持者がドームでのベルト奪取に失敗している。

 そこで「権利証を持って(ベルトを)取った人がいないんですよね? 僕が責任をもって(ジンクスを)終わらせたいですね。僕が始めたことですから」と4年ぶりのIWGPを持たない祭典で“権利証の呪い”を解くことを責務とした。

「弱いオカダなんて誰も見たくないでしょ。俺が優勝しないと面白くない」。常勝を義務づけられた男が、このまま夏男の座へ一直線に突き進む。