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【東名高速・夫婦死亡事故】身勝手な容疑者への処罰と理不尽被害を回避する方法


 神奈川県大井町の東名高速道路下り車線で6月に発生した、静岡市の家族4人が死傷する多重事故に事件性があった。神奈川県警は10日、夫婦の車の進路をふさいで追い越し車線に止めさせて事故を誘発させたとして、福岡県中間市の建設作業員石橋和歩(かずほ)容疑者(25)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)などの疑いで逮捕した。理不尽な行為に与えられる刑罰はいかようなものか。交通ジャーナリストが過去の事例からひもといた。

 石橋容疑者は6月5日、自身が乗っていた車で萩山嘉久さん(45=当時)一家のワゴン車の進路をふさぎ、追い越し車線に無理やり停車させ、後ろから走ってきた大型トラックによる追突事故を引き起こした疑いが持たれている。追突で、萩山さんと車を運転していた妻の友香さん(39=同)が死亡。同乗していた高校1年と小学6年の娘も軽傷を負った。石橋容疑者と同乗女性(22)も重傷。

 事故直前、現場から約1・4キロ手前のパーキングエリアの走路に石橋容疑者が車を止めていたことで、萩山さんに「邪魔だ」と声をかけられたことからトラブルになったとみられる。石橋容疑者らは萩山さんの車を追って止めさせると、ドアを開けて萩山さんに暴行。そこに大型トラックが突っ込んできたという。

 高速の追い越し車線に停車させることが危険極まりないのは誰しも理解できる。交通ジャーナリストの今井亮一氏(63)は、過去の類似した事件を振り返る。

 2011年、栃木県内の東北道で3台が絡む死傷事故が起きた。男が運転する乗用車が、車線変更してきた高速バスに腹を立て、走行車線を走るバスの前に停車。バスの運転手に降りてくるよう執拗に求めた数分の間に、後ろからトラックが衝突。トラックの運転手が死亡、26人が負傷した。一審は懲役1年4月。量刑不当で控訴したが、二審は控訴棄却だった。

 身勝手すぎる言い分といい、事件状況といい、東名の事件と似ている。

 今井氏は「東北道の当時の事件名は自動車運転過失致死傷罪。その後、法律が変わり、現在は過失運転致死傷罪になる。東名の事件は追い越し車線だし、死亡者は2人だから、より重い危険運転致死傷罪ではなく、過失運転致死傷罪で起訴されたとしても、東北道より重い判決が下されるだろう」と言う。

 しかし、東北道の控訴審では、ショッキングな光景が目撃されていた。

「過失割合が確定していないから、賠償金がまだ支払われていなかった。責任は追突したトラックが『7』。男とバスが『3』を分配するということだった」と今井氏。

 確定したわけではないが、こんな状況でも追突した側に7割の過失があるという。今回の事件でも、追突したトラックの運転手が書類送検される方向だ。
「東名の事件は、追い越し車線なので、追突した側の過失は6割程度になるか、ならないかのところだろう」(同)

 車を動かしている者の責任は重いわけだが、少なくとも萩山さん一家に過失が認定されるようなことは「絶対に世間が納得しないだろう」(同)。

 駐車をめぐるトラブルが発端とみられる今回の事件。我々が悲劇を避けるためには、「結論は、関わらないこと」と今井氏は断言する。

「子供の手前、お父さんはマナー違反の男に注意することが教育に良いと思ったかもしれない。しかし、目も合わせずに見過ごすべきだった。粗暴な者は注意されると、ナメられたくないから攻撃してくる」

 それでも走行中に怒らせてしまったら。「カーチェイスになったら路側帯に逃げる。とにかく追い越し車線で停車することは避けたい。ドアをロックする。絶対に外に出ない。窓を割られるかもしれない。いち早く110番通報しておくこと。トラブルになった後で助けになってくれるドライブレコーダーをつけておきたい」

 参考までに、危ない運転手の見分け方があるという。

 今井氏は「警察の職務質問マニュアルに載っているのは、セルシオなど高級車なのに、汚れやへこみをほったらかしにしている人。車内から覚醒剤が出てきたりする。こういう車に乗っている人は危ない」と語る。

 ちなみに、石橋容疑者がケガをしていることは量刑に影響しないという。警察、検察が罪の重い危険運転致死罪での起訴にたどりつけるか注目される。

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