ヤクルト1000だけじゃない! これから「高付加価値ドリンクが注目を集める説」を検証

2022年06月28日 14時19分

差別化が図られた「高付加価値飲料」
差別化が図られた「高付加価値飲料」

 値上げに負けないプラスアルファを! あらゆる生活用品の値上げが報じられる中、流通ウォッチャーの渡辺広明氏(55)は「これまで以上に高付加価値の商品に注目が集まる」と予測。これまで過剰な安売りで苦しんできた飲料メーカーの間で従来品と差別化を図る“地殻変動”が起きていた。

 原材料やペットボトルの原料となる原油価格の高騰を受け、飲料メーカー各社の間では値上げの動きが広がっている。

「サントリー食品インターナショナル」は10月1日出荷分から、約60%に当たる165品について、1本当たり約20円値上げすると発表。「キリンビバレッジ」も、ペットボトル入り全商品の約40%に当たる127品目を約20円値上げする。「コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス」や「アサヒ飲料」「伊藤園」も値上げを表明しており、10月以降に店頭で販売されるペットボトル飲料が高くなることは間違いない。

「日本の飲料メーカーはこれまでシェア争いにより特に激しい価格競争に巻き込まれてきました。各社そろって値上げに踏み切ったのは原材料費の高騰だけでなく、ずっと低かった収益性を業界全体で改善したいという思いもあるでしょう。今回はナショナルブランド(NB)だけでなく各社が製造を請け負ってきたコンビニやスーパーのプライベートブランド(PB)飲料も10~20円程度値上がりするだろうと私は見ています」(渡辺氏)

 渡辺氏の推測が正しければ、現在コンビニで129円で売られることが多いNBの500ミリペットボトルは149円前後、100円のPBが120円前後となり、棚に並ぶ飲料がほぼ全部値上がりするインパクトはかなり大きそうだ。しかし、渡辺氏は「トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品など高付加価値商品にとっては存在感を高めるチャンスになるかも」とも指摘する。いったいどういうことなのか?

「値上げで消費者の財布のヒモが固くなりますよね? でも飲み物は生活に欠かせない商品でもある。どうせ安くない金額を払うなら通常の飲み物より健康や美容にいい飲み物を飲みたいよねというマインドも生まれるからです」

 実際にサントリーは「特茶」「黒烏龍茶」「胡麻麦茶」などトクホについては値上げしないことを発表済み。その理由について、広報担当者は「コストダウン努力を最大限継続することを前提に、お客様にご理解いただけるであろう範囲で、一部の商品と一定の幅にとどめました。トクホについては価格改定するとご理解をいただけなくなるであろうと考えました」と答えた。

 最近では「睡眠の質が上がる」とSNSで話題になった「ヤクルト1000」が品切れになるほどの人気ぶり。乳酸菌系ではキリンビバレッジも「プラズマ乳酸菌」を含む機能性表示食品のバリエーション展開に注力している。

「『iMUSE(イミューズ)』は『免疫』を訴求できる機能性表示食品で、コロナ禍でも出荷数を大きく伸ばしました。高付加価値商品を開発するためには研究が欠かせませんし、そこでのコストを許容できるのは大手企業しかない。消費者にとって値上げはなかなか受け入れがたいものですが、飲料メーカーが収益性を改善しつつ、次の高付加価値商品の開発へとつながる好循環が生まれることを期待しています。値上げにおびえているだけの企業に明るい未来はありません」(渡辺氏)

 サントリーでは「天然水」ブランドからビタミンなどが入った商品を発売。1日分のビタミン補給ができ、熱中症対策飲料の設計にもなるとして販促に力を入れている。近年人気を集めてきた炭酸水市場でもビタミンやミネラルが配合された高付加価値商品が増えている。

 賃金の上昇と値上げが同時進行してくれることを願うばかりだ。

 ☆わたなべ・ひろあき 1967年生まれ。静岡県浜松市出身。「やらまいかマーケティング」代表取締役社長。大学卒業後、ローソンに22年間勤務。店長を経て、コンビニバイヤーとしてさまざまな商品カテゴリーを担当し、約760品の商品開発にも携わる。フジテレビ「LiveNewsα」レギュラーコメンテーター。

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