ミカンやブドウ、メロン、イチゴと同様に、スイカは日本でも極めて人気の高い果実。しかし、他の果実に比べると“スイカ味”の飲料や菓子って少ないのはなぜだろう? マンゴー味やブルーベリー味の方がはるかに製品数が多い。ドリアンとかならまだ分かるが、泣く子も黙るスイカですよ?

 一応、季節モノとして夏にはスイカ味のアイスやゼリーなども店頭に並ぶが、いかんせん販売期間が短く、種類もごくわずか。そんな状況で見つけたのが、この「スイカチップス」(原産国・トルコ、輸入者・マルレ株式会社、289円)だ。薄くスライスしたスイカをそのまま使ったチップスで、1袋で小玉スイカ1個分のリコピンとシトルリンを配合というヘルシーさもセールスポイント。

 袋を開けると出てきたのは、赤黒いビーフジャーキーのような代物。種もけっこうたっぷりと入っている。いざ食してみれば、うん、確かに甘いスイカそのものの味で、意外とおいしい。ちょっとドライマンゴーとかパパイヤに似ているかもしれない。

 ただし、味はともかく食感が…。歯にくっついて取れないほどネットリとしており、サクサク、ジュワジュワというあのスイカの食感とは百万光年離れている。

 これでハッキリした。日本国民がスイカに求めているのは味ではないのだ。暑い夏の日に縁側でかぶりついた時のあのみずみずしい食感。さらに言えば、ビーチで棒で叩き割った不揃いなスイカをみんなで食べる夏休み全開感。すなわちスイカのニーズとは季節の風物詩的イベント感であり、味は二の次。だからスイカ味の製品が多くないのだろう。