チャンスか栄光か、はたまた幸せか――人は誰でも“掴みたい”ものがあるだろう。今回の商品は、その商品名こそが最大のポイントである。「アレも掴める!トングさん」(発売元・アイピーフォー株式会社、200円)というカプセルトイ。長さ5センチ程度のミニチュアトングで、もこもこ型・のこぎざ型・先ぎざ型・はね型の全4種がラインアップされている。

 ゲットしたのは先ぎざ型だったが、ミニチュアアイテムとしては感動的なまでの再現度。ステンレス製で、握ったときの“バネ感”も本物そっくり。実によくできているのだが、このコラムに登場する商品のご多分に漏れず、用途が全く分からない。ドールハウスのキッチンに飾るのもアリだろうが、飾るだけにしては出来が良過ぎる。そして「アレも掴める!」という商品名。“アレ”とは果たして何なのか?

 使い道としては、例えば豆まきの時に自分の年齢の数だけ豆を集めるとか、米粒やビーズなどの細かいものを仕分けるのには便利かもしれない。だが、“アレ”が豆や米粒を示唆しているとは思えないのである。

 または新型コロナの予防で、不特定多数の人が触れる物を直接手で掴みたくない時とか? それもまた、このトングをわざわざ使うといい物なんて思いつかない。

 考えれば考えるほどに、アレとは何かが見えなくなってくる。きっと、アレの正体が天啓のようにひらめいた時、何かを掴んだような手応えを感じられるのだろう。