極めてリアルに作られた、おいしそうな焼き鳥。1プレー100円のクレーンゲーム景品だからもちろん食べられないのだが、これはぜひともゲットしたい!と、果敢にチャレンジした。が、結果は惨敗。何かの間違いでうっかり取れてしまったのは、焼き鳥の下に敷き詰められているプラスチック製の“宝石のようなもの”だった。

 手に入れられなかったからには仕方がない、今回はターゲットの焼き鳥ではなく、こちらの宝石モドキについて書く。これ1個をゲットするまでに100円玉を何枚投じたかは恥ずかしいので伏せておくが、まあ、どう考えても使った金額に見合う景品ではない。

 ところで、クレーンゲーム景品の“適正価格”っていくらぐらいなのだろうか? ワンコインでバンバン取られては、店として商売が成り立たない。そこで調べてみたら、業界団体のガイドラインでは“おおむね800円以下”とされているようである。つまりガイドラインを破っているような高額景品でないのなら、800円以内でゲットしなければ、お客は“損”ということになる。

 この宝石モドキだったら、数百円どころか100円で一発ゲットしたとしても、数字上は損に違いない。だが、果たしてそう言い切れるだろうか? そもそもクレーンゲームというのは、そのゲームを遊ぶことにお金を投じるのであって、景品ゲットを目指して数分間楽しめたことは確かだ。それに、よく見るとこの宝石モドキ、光にかざすとキラキラと輝いて美しい。こんなものでも、きっと小さな子供だったら宝物に感じるのではないだろうか。ならば原価がいくらかなんて気にする必要はない。そう、適正価格は手に入れた人の心の中に表示されているのだ――。