【石井和美の辛口家電診断】外食を控えざるを得ない今、せめてお家ではおいしいものを食べたい――。そこで今月は調理家電の特集だ。特色それぞれ、食の充実にぜひ役立てたい。家電プロレビュアーの石井和美氏に教えてもらおう。

 調理家電は近年、多様化しています。まずは対応人数。これまではファミリー向けが多かったのですが、単身者向けや子供が巣立ったシニア夫婦向けなど、コンパクトになっていることが特徴です。トースターだったら、以前は「4枚も焼ける」など量を競っていたところを、「1枚でもふんわりモチモチ」など一つの事柄を深く掘り下げる製品も増えています。

 生活に潤いを与えるような、使っていてワクワクするような遊び心がある製品も人気です。コロナ禍において、必然的に家事に費やす時間も伸びています。どうせやるなら楽しく取り組みたいと、そういった製品設計も大事になってきています。

 注文をつけるとすれば、取扱説明書のわかりやすさでしょうか。調理家電に限ってのことではないのですが、最近では家電の世界でも、説明書がQRコードでの読み込みになっていたりとデジタル化が進んでいます。当然、便利な点も増えているのですが、一方で、まだまだ活字での説明を求めている世代もいます。一部メーカーの説明書などは、文字も小さく、とても読めたものではありません。

 たとえばシニア世代に向けては、判型とともに文字を大きくして図解も取り入れるなど、分かりやすくした説明書があってもいい気がします。デジタル時代とはいえ多様性に目配りする…そういった気遣いも今後は期待しています。

【あったかスープで温まろう】ヒーター内蔵のスープメーカーです。食材を細かく撹拌しながら、温度を自動調整して調理してくれます。

 たとえば王道のコーンスープなども市販のホールコーン、牛乳、コンソメなどを加えて3種類あるボタンの「SOUP/PASTEモード」を選べばOK。今の時期はレンコンもいいですね。旬の野菜を選んで、レストランで飲むような温かいポタージュが味わえますよ。

 うれしいのは製品名にもなっているソイ、自家製の豆乳やおからも作れてしまう点。本体に水に浸した大豆を投入、「SOYMILKモード」を選択し、しばし待つと出来たての豆乳が! なかなか作りたての豆乳を飲む機会も少ないと思いますが、これがまた甘い。イソフラボンは骨を強くし、カルシウムも多く含まれるとあって特にシニア世代にはオススメです。おからもできますし、今の時期でしたら豆乳鍋に活用するのもいいですね。

 もちろん、スムージーやパスタソース等にも応用が可能。価格もお求めやすく、春夏秋冬、お使いいただける製品です。

 ◆ウィナーズ「レコルト ソイ&スープブレンダー」(1万1000円=オンラインストア価格・税込み)

【1台6役のマルチ機能】トースター、オーブンとしてばかりか、ノンフライヤー、フードドライヤー、低温調理、発酵食品作りが可能となるコンベクションオーブン(熱風によって食材を加熱する機能を持った製品)となります。

 何といっても低温・長時間調理が可能なことで、ローストビーフやサラダチキンを前の晩に仕込んでおいて朝には完成、夜のおかずに活用できます。甘酒、ヨーグルトなどの発酵食品作りにもたけていて、腸活にも一役。

 操作法も簡単です。低温、高温それぞれに対応するツマミを回すだけ。メーカーの方に聞いたところ、意外と好評なのはビーフジャーキーとか。なかなか自宅で作れませんよね? でもこのオーブンがあると本格ツマミが簡単にできます。

 そうそう、総菜の揚げ物をリメークするのも上手です。熱風によって油を落とし、カラッと再生。何かと使い勝手の良さが光る製品となっています。

 ◆テスコム「低温コンベクションオーブン TSF601」(1万6280円=オンラインストア価格・税込み)

【家でせんべろ気分に】このご時世、外でも飲めないし、家で一杯やるか…そんな方にピッタリです。写真を見てもらえれば分かるように電源を使ったヒーターで、さかなに合わせて網や鍋をセットします。網でエイヒレをあぶりながら熱燗を楽しんだり、温めながらアツアツのおでんを味わうのもいいですね。

 調理家電は遊び心がある製品がウケているという話をしましたが、まさに! リモート飲みなどでも、これが画面に映し出されたら、友人たちから「俺も欲しい!」という声がかかりそうです。

 とにかく温めるのに向いているので、たとえばコンビニのおでんや焼き鳥など、調理済みの食べ物を選んでいただければと思います。連続使用時間の目安は1時間なので、意外と飲みすぎなくていいかもと、その点も高評価です。

 ◆ライソン「せんべろメーカー」(7500円=参考販売価格・税別)

 ☆いしい・かずみ 家電プロレビュアー。家電レビュー歴15年以上。茨城県に家電をレビューするための一戸建て「家電ラボ」を開設、冷蔵庫や洗濯機などの大物家電のテストも行う。実際に製品を使用した上での的確なコメントに定評あり。