【石井和美の辛口家電診断】先月から始まった家電プロレビュアーの石井和美氏による辛口家電診断。今回取り上げるのは「加湿器」だ。今年は新型コロナ禍において注目度が高まっていることに加え、今やすっかり生活家電に溶け込んでいるが、常々、加湿器に関しては石井氏が消費者に伝えたいことがあるとか。果たしてその内容とは…。
今年は加湿器の需要が高まっています。ウイルス対策には室内の加湿や換気が一定の効果があるとされ、新型コロナの再流行が予想される今冬も必須家電となりそうです。
ただ、買う前に皆さんに私が声を大にして伝えたいのは「お手入れの方法を確認しましょう!」です。というのも、加湿器には超音波式、スチーム式、気化式、ハイブリッド式など様々ありますが、総じてお手入れが面倒。水を用いて加湿するという特性もあり、ちょっと放置するだけで、ヌルヌルに。カビが発生してしまいます(涙)。
特に注意してほしいのは超音波式です。コスパが良く、軽量でおしゃれなものも多いとあって、加湿器の中でも1番人気となっていますが、正直、相当マメに掃除しないと清潔は保たれません。加湿力も弱く、ここだけの話ですが、家電業界の人間は特性を分かっているだけに超音波式を使っている方は少ないです。
健康のために導入しているのに、健康被害を起こしてしまったのでは元も子もありませんので、購入前にいま一度、「このお手入れが自分にできるかどうか」を確認するようにしましょう。
では、どういった加湿器を選べばいいのか。お手入れのしやすさに加えて、コロナ禍においては家で作業する人も増えているため、長時間使用する加湿器は「音」もポイントとなります。それぞれの特性を理解した上で購入するようにしましょう。
【寝室使いに最適】この時期、寝ている間の加湿を気にする方は多いです。空気が乾燥する季節とあって、放っておくと口や鼻の粘膜が乾いてしまい、風邪やインフルエンザ、新型コロナなどのウイルスも体内に入りやすくなってしまうためです。
こちらの気化式の加湿器をオススメする理由としては「音が静か・省電力」といった点。低消費電力で運転するDCモーターを採用、温度と湿度のWセンサーを搭載していることで自動運転で適度な加湿環境を作り出してくれます。音も静かとあって、まさに寝室向けと言えそうです。
◆シャープ「プラズマクラスター加湿機 HV―L30・プレハブ洋室8畳まで」(2万680円=本紙調べ・税込み)
【清潔キープ、安定感あり】加湿器に関してはいかに清潔をキープすることが重要かということをお話ししました。その点、この加湿器はカビがはびこりやすい給水トレイに使い捨てカバーがついているため、お手入れは1シーズンに1回、カバーを交換するだけという画期的な代物。ほかのフィルターなどの清掃も必要ではありますが、大幅にお手入れ面では改善されています。
このLXシリーズは水を含んだフィルターに風を当てる「気化式」と、温風をフィルターに当てて加湿する「温風気化式」のハイブリッド方式。水を沸騰させて使用するスチーム式などより消費電力を抑えられるのもポイント。
また気になる音に関しては、標準モードから、就寝時には気にならない静音モードまで設定できるため、「音があると眠れない」という方にも安心です。リビングから寝室まで幅広い用途にご使用いただけ、安定感の高い製品となっています。
◆ダイニチ工業株式会社「LXシリーズ HD―LX1020・プレハブ洋室27畳まで」(3万8280円=本紙調べ・税込み)
【お手入れ簡単、実用性ナンバーワン】スチーム式で長く支持されている製品です。人気の理由は構造にあります。ポットと同じ構造を採用することでお手入れが面倒なフィルターもなく、水を沸騰させた蒸気で加湿するため、室内は清潔な蒸気が常に循環していることに。給水もポットと同じく、ふたを開けて水を注ぐだけと簡単です。
倒れてお湯が漏れ出たら…という心配にもしっかり対応。「ふた開閉ロック」としてレバーでふたを常にロックしてあり、仮に加湿器が転倒しても簡単には開かないようになっています。
さらには部屋の状態を「低湿」「適湿」「高湿」とランプで確認もでき、デュアルセンサーが快適な湿度を自動でコントロールしてくれます。難点を挙げれば、いわば常にお湯を沸かしている状態と同じなため、電気代がかかることと湯沸かし音が多少気になる方もいるかもしれません。総じて使い勝手は良く、我が家でも愛用しています。
◆象印マホービン「スチーム式加湿器 EE―DB50・プレハブ洋室13畳まで」(1万8230円=本紙調べ・税込み)
※本紙調べはヨドバシ・ドット・コムの価格を掲載(2020年11月4日時点)
☆いしい・かずみ 家電プロレビュアー。家電レビュー歴15年以上。茨城県に家電をレビューするための一戸建て「家電ラボ」を開設、冷蔵庫や洗濯機などの大物家電のテストも行う。実際に製品を使用した上での的確なコメントに定評あり。