【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】行き先に迷ったら「写真の中へ行く旅」はいかがですか?

2021年03月30日 16時00分

時刻表の表紙を見て、“写真の中へ行く旅”を決めました
時刻表の表紙を見て、“写真の中へ行く旅”を決めました

 鉄道ファン歴30年にもなると、乗り鉄の行き先を決める時に、「ここは行ったし、これにも乗ったし…」と悩んでしまいます。数年前、青春18きっぷが利用できるシーズンに、時刻表をパラパラとめくって考えましたが、全く決まりませんでした。諦めて時刻表を閉じると、表紙に列車のライトが暗闇に照らされている、幻想的な駅の写真が目に飛び込んできました。その写真があまりにもキレイで、私の心にズキュンと刺さり、「決めた! ここに行こう!」。こうして“写真の中へ行く旅”が始まりました。

 行き先は、山口県にあるJR小野田線の雀田(すずめだ)駅。この路線はY字のような特殊な形をしています。雀田から終点の長門本山へ行く列車は朝と夕方の一日3本しかない上、日中は10時間以上も列車が走らない時間帯があるんです。

 思い付きで難易度が超高い駅を選んでしまいましたが、時刻表の表紙に載るほどの場所だし、行ってガッカリすることは絶対にないはず。期待に胸を膨らませ、18きっぷと時刻表を握り締めて東京を出発しました。

 在来線だけを乗り継いで、寄り道をしながら向かった5日目の朝6時、ついに念願の雀田駅ホームに降り立ちました。「今、私は、この時刻表の表紙の中にいる!」と思うと、うれしさが込み上げてきます。女一人、まだ夜明け前で真っ暗闇の中、必死に写真を撮っていると、一日に3本しかない列車のうちの2本目がコトコトと静かにやってきました。ホームに停車した瞬間、表紙と全く同じ景色が現れて、感動は絶頂に達しました。この列車を逃すと10時間以上、長門本山行きは来ないので、これに乗ります。終点の長門本山駅に着くと、今度は幻想的な朝焼けが私を迎えてくれました。今日は朝から絶景の連続です。

 この感動をたくさんカメラに収めたくてバシャバシャ写真を撮っていると、地元のおばあちゃんが話しかけてくれました。そこでこの方に、列車の本数が少ないことについて聞いてみると、「とっても不便よ。でも最終を逃すと帰れなくなるから、お友達との話を切り上げるには便利なの」と教えてくれました。そんな活用法があったなんて、驚きです(笑い)。

 ここで木村ポイント! 時刻表や旅雑誌の表紙には、その時季に最も旬な場所が採用されているので、行き先に迷ったらぜひ参考にしてみてください。それでは「写真の中へ行く旅」へ、出発進行~!

 ☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。

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