
大きな駅の近くには、必ず観光案内所があります。ここへ行けば周辺のことを何でも教えてくれるので、私は特に用事がなくても寄ってしまうんですが、過去に「そんなことまで知ってるの!?」と驚いた出来事がありました。
それは、岩手県のJR釜石線に乗り鉄へ行った時のこと。この路線では、沿線にゆかりのある宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をテーマにした観光列車「SL銀河」が走っています。車内にプラネタリウムもあるんですよ!
これに乗って、私は遠野駅で下車しました。観光のため路線バス乗り場へ行くと、乗る予定だったはずのバスはすでに発車済み。どうやら事前の下調べで、私が時刻を間違えていたようです。次のバスは3時間後なので、もう観光巡りに行くことはできなくなりました。バス停で1人頭を抱えていると、背後から見知らぬ男性に声を掛けられました。
「さっきSL銀河から降りてきたよね? もしかして、バス逃しちゃったの?」
話しかけてきたこの人は、ホームで歓迎幕を持ってお客さんをもてなしていた時に私を見かけたそうです。すると「もうすぐ仕事が終わるから、行きたい場所へ車で案内しますよ」という展開になったんです! こうして1人で巡る予定だった数々の名所、カッパ伝説が残る小川のカッパ淵、縁結び神社の卯子酉様、日本一の洞窟の滝がある滝観洞へ連れて行ってくれました。
あれから数年たって、このときのエピソードを、ある雑誌に紀行文として掲載することになったのですが、この男性と一緒に写る写真を載せるには、相手の方の承諾が必要となりました。ですが、旅は一期一会。連絡先も名前も、いまとなっては分かりません。そこでダメ元で、遠野市観光協会に問い合わせてみました。
「この写真の男性を探しています。ご存じありませんか?」と尋ねるとすぐに、「あぁ!佐藤さんだね」と解決してしまったんです。恐るべし、観光案内所!(笑い)
ここで木村ポイント! 久しぶりにつながった佐藤さんに改めてお礼を伝えて、後日掲載誌を送るととても喜んでくれました。それでは、旅先で困った時は何でも知っている観光案内所へ、出発進行~!
☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。
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