コロナ禍で旅へ行けない今、この記事を読んで旅行気分に浸っていただこうという「脳内乗り鉄」コーナー。今回は“日本一ビジュアルがヤバい駅舎”をご案内します。それでは一緒に、レッツトリップ!

 そのヤバい駅舎は、青森県の立佞武多(たちねぷた)で有名な五所川原市の近くにある、JR五能線の木造駅です。外観の写真を見れば、そのヤバさが伝わるのではないでしょうか?

 これは近くの亀ヶ岡遺跡から出土した、高さ26センチの遮光器土偶をモチーフにして、高さ17メートルのモニュメントを造って貼り付けちゃった駅舎になります。この土偶の愛称は「しゃこちゃん」。ちゃんと駅業務もこなすんですよ。

 列車が到着する時はお客さんにお知らせするため、目から白く光るビームを出して「もうすぐ列車が来るよ~」と合図してくれます。ですが、その様子は侵略に来た宇宙人のようで、近所の子供たちが怖くて泣いてしまうと苦情が来たこともあったそうです。

 そもそもなぜこんな駅舎になったのか? 調べてみると、国鉄が分割民営化された直後の1988年に、当時の竹下登首相が、ふるさと創生事業として市町村に1億円ずつ配ったことがありました。つがる市は町のPRのため、1億円をこの駅舎の改造費用に充てたので、インパクト抜群の駅舎が誕生しました。

 あれから30年以上たちましたが、さらに観光客を呼び込もうと昨年、改装工事が行われました。生まれ変わったしゃこちゃんは全身が塗り直され、さらに目がLEDで7色に光るように改造されたんです!

 このLEDビームは列車到着の約3分前から点灯し、3秒ごとに赤・オレンジ・黄色…と変化していきます。コロナが終息して、また自由に旅行ができるようになった時、全国からたくさんの人に見に来てほしい!と、いまは守り神のようにひっそりと待機しています。

 ここで木村ポイント! この光るビーム、実は列車到着に合わせて駅員さんが手動で点灯させるアナログ式です。ちなみに列車が来なくても駅員さんにお願いすると、光らせてパフォーマンスを見せてくれますよ。それでは、コロナ終息後はしゃこちゃんに会いに、出発進行~!

 ☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。