競馬の情報がたくさん掲載されている東スポを読んでいる方には、競馬ファンも多いのではないでしょうか? そんな競馬を愛するみなさんへ、「あっちもこっちも馬だらけ!」の、とっておきの路線をご紹介します。

 その路線は、北海道のJR日高本線です。日高といえば、日本で一番多くの競走馬が生まれた場所。日本の競走馬を育てる牧場の約7割がここにあるそうです。そのため沿線には牧場が多く、車窓からも広い草原でゆったり過ごす馬が、たくさん見られちゃいます。

 私が初めて行った時は、あっちにもこっちにも馬が見えて「ここは鉄道版サファリパークだ!」と大興奮でした。

 せっかく来たので、名所を巡りました。節婦(せっぷ)駅近くの山肌に大きな壁画が見えて、名馬の地にやってきた感が高まります。私は隣の新冠(にいかっぷ)駅で下車しました。ここは歴史的な名馬であるナリタブライアンやハイセイコーなどが生まれ、オグリキャップやコスモバルクにゆかりのある地です。

 駅前のレンタサイクル店で自転車を借りて散策開始! 地平線まで真っすぐな道が続いていて、その両脇には草原が広がり、見上げると真っ青な空があります。まさに松山千春さんの名曲「大空と大地の中で」の歌詞通りです。

 もちろんお馬さんもたくさんいます! 柵の近くへ行くと、数頭が寄ってきました。まじまじと観察すると、毛並みはツヤツヤで筋肉はムキムキ。とくに尻尾の毛は、美容院でトリートメントをしている私よりもサラサラでした。一体どんなシャンプーを使っているのでしょうか? うらやましいなぁ~!

 近くにあるナリタブライアンやハイセイコーのお墓参りをして、新冠駅に戻りました。次は絵笛(えふえ)駅です。ここはなんと、牧場の中にある駅。そのため、まれに馬が通る時は列車が止まって通過待ちをすることもあるんですよ。

 ここで木村ポイント! ここまで日高本線の魅力について語ってきましたが、実は鵡川(むかわ)~様似(さまに)間は2015年の台風による被害で、現在もバスの代行輸送になっています。復旧困難な上、赤字続きのため、同区間は来年11月1日に廃線になることが決定。状況次第では、4月1日に前倒しになる可能性もあるそうです。廃線後はバス路線となります。

 ただ廃線となっても観光名所はそのまま残っているので、新型コロナが落ち着いたころに「これぞ北海道!」と感じられる旅へ行ってもらいたいです。それでは天然サファリパークのような日高本線へ、出発進行~!

 ☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。