【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】人間に例えて振り返る「青ガエル」の〝エリート人生〟

2020年08月25日 16時00分

青ガエルの兄弟は、4年前まで熊本県で活躍していました(写真上)。ハロウィーンでは、渋谷の青ガエルの車内も仮装仕様でかわいかった(写真下)

 今月初め、東京・渋谷駅前の忠犬ハチ公像の近くにあった緑色の電車、通称「青ガエル」が、ハチ公のふるさとである秋田県大館市へお引っ越ししました。ニュースや新聞に大きく取り上げられたのを見て、正直「こんなに有名だったの!?」とちょっと驚いてしまいました! そこで今回は、この青ガエルの経歴を人間に例えて振り返りたいと思います。

 この電車は、渋谷駅を起点、終点とする東急電鉄で、通勤用として昭和29年(1954年)から走り始めました。形式は5000系というもので、全部で105両製造されたうち、一番最初に造られた1両です。人間で言うと、105人兄弟の長男になります。

 当時の最新技術により軽量化されたうえ、速く走れることもあって、急行列車にも使われました。エリートとしての入社だったと思います。丸いプクッとした顔に緑色の見た目から「青ガエル」と呼ばれるようになりました。

 これら5000系は、昭和61年(86年)に全て廃車となってしまいますが、しっかり造られていたため、中古車両として人気になります。そのため長野、静岡、熊本などのローカル線に引き取られ、第2の人生を歩みました。

 渋谷の青ガエルは、長野県の上田電鉄に譲渡されます。この路線は高原地帯を走るので、夏は涼しく、線路の両脇には田園地帯が広がり、別所温泉の最寄り駅もあるので、のんびりと快適に過ごしていたんじゃないかなって思います♪

 その後、平成5年(93年)に定年を迎えて、東急電鉄に戻ってきます。車体後部をカットして床下機器を取り外す“全身整形手術”を経て、平成18年(2006年)に渋谷のハチ公像前に置かれ、誰でも入れる観光案内所になりました。そしてこのたび、秋田県の観光交流施設「秋田犬の里」にお引っ越しとなり、今度は芝生の上で休憩所として活躍するそうです。人と同じで電車にも、歴史ありですね。

 ここで木村ポイント! この青ガエルだけでなく、一番最初に造られた同形式のトップナンバーと言われるものは、廃車になった後も大切に保管されることが多いんです。鉄道博物館や公園で保存されている車両を見かけたら、車体の番号をチェックしてみてください。「1」の数字があれば、大家族の長男です。

 それでは、秋田県で老後を過ごすことになった青ガエルに会いに、出発進行~!

☆きむら・ゆうこ 1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。