【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】「デマによる反対運動」でローカル線に…という話もデマ!?

2020年05月19日 16時00分

阿武隈急行はデマによってローカル線になった!?

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になり始めたころ、主にSNSを通してさまざまなデマ情報が流されましたよね。トイレットペーパーがなくなるとか、感染者が出ていないのに「出た」と名前を出されたお店もありました。

 私も真実が分からなくて、最初の頃はいろんな情報に惑わされてしまいました。でもこういうことって、SNSが発達した現代に限った話ではないんです。鉄道が作られたころ、こんなことがありました。

 明治5年(1872年)、日本で初めての鉄道が走り、その便利さから全国へ路線が延ばされていきます。でも鉄道建設が盛んになると、沿線となる住民から反対運動も起こり始めたんです。

 普通に考えると、新しく路線や駅ができると便利になるし地価も上がる。今なら大歓迎されることが多いですが、当時は鉄道というものを全く知らない人ばかり。そのため、「鉄道の電線は伝染病を運ぶ」とか「汽車の煙で稲が枯れる」「振動で地割れして田んぼの水がなくなる」などというデマが広がってしまったんです!

 そんなデマに影響されてしまったのが、福島県の北部を走る阿武隈急行。これは国鉄丸森線を引き継いで誕生した第三セクター鉄道です。丸森線は、戦後しばらくして建設計画が持ち上がったんですが、当初はこの路線が東北本線になる予定もあったんです。でも丸森線の沿線は蚕の養殖が盛んだったこともあり「汽車のススが餌の桑の葉について蚕が全滅する」という噂が流れて、沿線の住民から反対運動が起きてしまいました。

 結局、昭和43年(1968年)に丸森線は開業しましたが、東北本線になることはありませんでした。その結果、乗客が少ないローカル線になってしまい、採算の取れない赤字路線に。そして国鉄民営化によって、阿武隈急行になったんです。

 私が乗り鉄へ行った時、地元の人が「あの時、反対運動をしてなかったら、この路線ももっと栄えていたはず」と話してくれました。

 ここで木村ポイント! 実は…、この「反対運動があったこと自体がデマ」という説もあるんです。インターネットもスマホもない時代だったため当時の記録が残されておらず、真相は分かりません。あなたはどちらを信じますか? それでは、デマ情報に惑わされない社会へ、出発進行~!

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。