【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】年2回の限定公開 隠れたモミジの名所・愛岐トンネル群

2019年11月26日 16時00分

無人駅なのに期間限定で駅員さんが20人も現れます

 私が住んでいる東京は木々が色づき、街が華やかになっています♪ そんな今、ぜひ行ってほしい穴場スポットがあります。題して「普段は無人駅なのに、年に2回だけ駅員さんが20人現れる紅葉駅」です!

 その場所は、愛知県のJR中央線にある定光寺駅。ここに期間限定で一般公開されている廃線跡があるんです。

 旧中央線の廃線跡で、かつては山に囲まれた渓谷沿いの断崖絶壁に線路が敷かれていました。1900年(明治33年)の開業当時は、SLも走っていたんです。普段は閉鎖されていますが、春と秋の数日間のみ、入ることができます。今年の秋の公開は、11月23日~12月1日の9日間。今なら、閉ざされた場所に入れるんです!

 この廃線跡一帯は、約8キロの短い区間に13基ものトンネルがあったため「愛岐トンネル群」と呼ばれています。公開日には、そのうちの1・7キロを実際に歩くことができるんです。

 1966年(昭和41年)の廃線後、線路が撤去されて草木が生い茂り、すっかり忘れ去られた存在になっていました。

 その後、明治の赤レンガを町おこしに再活用するイベントを開催したところ、地元の方から「そういえば昔、定光寺駅付近にたくさんの赤レンガトンネルがあったよ」との情報が! そこで数か月にわたり山の中を捜索したところ、40年以上ひっそりとやぶの中に眠っていたトンネル群が発見されました。なんだか、ジブリ映画の「天空の城ラピュタ」のような展開ですね。

 ただ、それからが大変でした。最初は集まった5人で、1日5メートルも作業が進まないほどの密林地帯を整備し始め、1年がかりで、やっと人が歩けるくらいの道が完成。試しに見学会を開いたところ、定員100人に対して300人の応募があり「隠れたモミジの名所」として口コミで広がっていったんです。

 名前が周知されていくと、愛岐トンネル群は登録有形文化財に指定されました。定光寺駅は無人駅で、普段は普通列車しか止まらないのに、公開日はJRも協力して快速が止まる臨時ダイヤとなり、近くの駅から20人ほど駅員さんも応援に来ます。埋もれた遺産のサクセスストーリーに感動です。

 ここで木村ポイント! 散策路は200本以上のモミジが見事に赤く染まる「廃線の秋」に出合えます。それではこの秋、愛岐トンネル群へ出発進行~。

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。