【鉄旅タレント木村裕子の日本全国おもしろ鉄道】日本初のモノレール 黒字路線なのに「運行休止」ネックになったのは…

2019年11月12日 16時00分

上野動物園の園内を走るモノレール。10月末に運行休止となった

 空を飛ぶように走るモノレールは、まるで魔法のじゅうたんのようで大人でもワクワクしてしまいませんか? いまでは全国各地に点在していますが、日本で初めて走ったのは、なんと上野動物園の中でした。その“お初モノレール”がいま、存続の危機に陥っているんです!

 正式名称を「上野懸垂線」と呼ぶこの路線は、東園と西園の300メートルを1分半で結びます。乗車賃は大人150円、子供80円で、一般的な鉄道と同じように券売機で購入。チケットには象やパンダのイラストが描かれています。東京都が運営しているので、車両や駅には都営地下鉄と同じマークが付いているところがかわいい! 遊具のようですが法律上は鉄道なので、日本全線完乗達成のために私は乗車済みです。

 このモノレールは戦後、路面電車に代わる乗り物を開発するため、世界最古であるドイツのモノレール技術を参考にして、まずは実験と研究のために1957年に園内で開業させました。来園客を乗せて着実にデータを出していきましたが、時代は高度成長期に突入。一度にたくさんの人を運ぶことが必要となり、輸送力に勝る地下鉄が採用された結果、試験走行は必要なくなりました。

 でも上野動物園では名物の乗り物となっていたため、そのまま走り続けること62年。年間130万人以上が利用する黒字路線なのに、先月末で「運行休止」となってしまいました。

 理由は老朽化のため。それもただの老朽化ではない部分がネックとなっています。開業時に参考にしたドイツのモノレールは、線路の下を車両が走る「懸垂式」というもの。見た目は、サルが片手で木にぶら下がるような感じで、片側だけでつられている形は日本でここだけになります。

 現在の車両は4代目で、5代目を造るには18億円かかるそう。同じ方式のモノレールが国内にないため部品交換も難しく、メンテナンス費用もかさみます。そこで今後の検討期間として、いったん“運行休止”という事態になってしまいました。答えが出るまでは、パンダがラッピングされた無料の連絡バスを運行させるそうです。廃止ではなくあくまで“休止”なので、復活を待ちたいと思います。

 ここで木村ポイント! このモノレールは、都が運営していることもあって、すでに運転免許を持っている元都営地下鉄の運転士さんが運転していたのも特徴です。それでは、今後の行く末を見守って上野動物園へ出発進行~!

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。