先日、台風15号の関東直撃に伴い、JRや私鉄の各路線が事前に運休を発表する「計画運休」を行いました。これについては賛否両論ありますが、個人的にはとてもいい案だと思います! 

 8月中旬に台風10号が中国地方に上陸した際、JR西日本が計画運休を実施して効果があったので、今回はそれを見習ったものと思われます。

 台風15号が接近していた9月8日、私は仕事で静岡県にいました。三島駅では朝から「東海道新幹線の東京行きは20時52分発以降、全運休します」とアナウンスが流れ、それが昼すぎには夕方に繰り上げられました。ただ、事前にアナウンスしてくれたおかげで、私も先方も早々にお仕事を切り上げ、無事に東京に戻ってくることができたんです。

 もちろんスケジュールに支障が出たり、調整の大変さはありますが、事前に状況が分かるので私は計画運休に大賛成です。だって日本人って電車が動いていたら、責任感から這ってでも行っちゃうじゃないですか。私もそうですけど(苦笑)。

 日本人が律義に時間を守るようになった理由の一つに、鉄道の発展が関係していると私は思っています。そもそも江戸時代の日本人は、今では考えられないほど時間にルーズだったそうです。

 幕末に長崎に来ていたオランダ海軍の軍人が「日本人の悠長さといったら、あきれるくらいだ」と言ったという記録も残っています。

 日本で初めて鉄道が走ったのは1872年(明治5年)ですが、この年に一日を24時間とする定時法が定められました。当時は「乗車せんと欲する者は、遅くとも此表示の時刻より15分前にステイションに来り、切手買入れ、其の他手続きを為すべし」と鉄道会社から案内があったとか。列車に乗るために、まさかの15分前行動が必要だったんです!

 さらには列車が遅れないように、発車時刻の5分前には駅の扉を閉めていました。日本人は鉄道によって「時間を守る」とか「遅刻はダメ」という概念を学んだのでは?と推測します。

 ここで木村ポイント! 今回の計画運休では、時間を繰り上げて終電になった電車に、お客さんを乗せられるだけ乗せた結果、体調不良に陥った人がいて緊急停車ボタンが押されるケースもあったそうです。そのため、計画運休に否定的な意見もあって当たり前だとも思います。でも災害時の計画運休は、まだ始まったばかり。ここからいい方向に向かうように願って、出発進行~!

☆きむら・ゆうこ=1982年8月17日生まれ。愛知県出身。鉄道をこよなく愛する鉄旅タレント。2015年にはJR、私鉄、地下鉄、ケーブルカー、モノレールなど、日本全国にある鉄道を全線乗車する「日本国内鉄道全線完乗」を達成。乗車した走行距離は約2万8000キロメートル。